私たち「赤星探偵団」が、
あしで稼いだ“おいしい情報”を発信します

赤星が飲めるお店を探す 赤星が飲めるお店を探す
ブクマーク一覧へ

団長が行く File No.26

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

「山源」

公開日:

今回取材に訪れたお店

山源

ブックマークする

あのお店はなぜ時代を超えて愛されるの? お客さんがみんな笑顔で出てくるのはどうして? 赤星探偵団の片瀬那奈団長が、名店の暖簾をくぐり、左党たちを惹きつけてやまない「秘密」を探ります――。

■本能に訴える食べ物

ホルモン焼き――この単語にワクワクするのはなぜだろう。表通りよりも裏路地にあって、新しくてキレイな店よりも古くて煙が染み込んだ店の方が、うまいホルモン焼きを味わえそうな気がする。

オシャレな雰囲気なんて要らない。なりふり構わずうまいヤツを喰らいたいだけ。そんな本能的欲求をむき出しにしたくなる、不思議な食べ物がホルモン焼きだ。

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

池袋から埼京線で3分の板橋駅、または巣鴨から都営三田線で3分の新板橋駅。都心からすぐなのに多くの人にとってまったく馴染みのないこの地に、世のホルモン好きが足しげく通う「山源」はある。

「ホルモン」と潔く染め抜かれた暖簾の吸引力に抗う術を知らず、片瀬団長は店の中へと吸い込まれていく……。

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

片瀬: 店内は燻されてどこもかしこも飴色。これぞホルモン焼き屋さんの正しい姿。思わずテンション上がってきちゃいます。まずはビール! 瓶ビールをお願いします!!

サッポロラガービール、通称“赤星”の大瓶が登場する。トクトクトクと、いつもなら手酌するところだが、最初の一杯を店主の山口潤一さんが注いでくださった。

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

――いただきます!

片瀬: ああ、美味しい! ほんのり漂うホルモン焼きの残り香だけでもグイグイ飲めちゃう。よーし、今日は焼きまくるぞ、食べまくるぞ。

「山源」で外せないのは、牛のマルチョウ(小腸)とシマチョウ(大腸)を盛り合わせたホルモン。塩・タレ2種の味付けがあるが、いずれも必食の看板メニューだ。

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

他にも、ハツ、レバ、ホーデン(睾丸)、仔袋、オッパイなどが人気。団長はホルモンの塩からスタートし、ハツやコメカミを攻めたあと、ホルモンのタレに戻る作戦を立てた。

■1対1で向き合うべし

「ホルモンは焼き方がむずかしいので、初めてのお客様は必ずスタッフが焼かせていただいています」と山口さん。手元の皿には、丁寧に下処理された大振りで分厚いホルモンが白く輝いている。

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

片瀬: おおー、これはどう考えても美味しいヤツだ。ホルモンが立ってる。立つホルモンを初めて見ました!

それにしても、付きっきりで焼いていただけるのは、ありがたいです。ホルモンって大好きなんだけど、うまく焼けないから敬遠していたところがあるの。今日はホルモンの上手な焼き方も習得したいです。

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

内臓系はしっかり火を通すことが前提となるが、その“程度”の見極めがむずかしい。特に、脂の多いマルチョウ、シマチョウは燃えやすく、焦げやすい。ポイントは、いかに炎上させずに表面をこんがりと焼いていくかとのこと。

山口さんはこまめに状態をチェックし、ホルモンを頻繁に回転させて焼き面を変えていく。熱が加わると、どうしても脂が溶けて炭火に落ち、炎が上がる。そんな時は、すかさず、ペットボトルの水で消火するべし、だ

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

片瀬: (火元の炭に水をかけるのを見て)えーっ! 消火ってホントに水をかけちゃうんですか!? それでも炭火は復活するんですね。これの方法は、炭火焼きならではですね。

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

お、焼き上がりましたか。まずはマルチョウから、ワサビを付けていただきます。

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

……甘い。脂がとろけて、ふわっーーと甘くて、口の中でなくっていっちゃうの。これ、ワタシ史上最高ホルモンです。

続いてシマチョウ。

片瀬: はあ~、キミも美味しいよ。やっぱり甘みがすごいんだけど、よりスッキリとした印象。皮の部分の歯ごたえが心地いい。

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

山口さん、最高です。ありがとうございます。そして、私、めちゃめちゃ反省しています。今までホルモンにちゃんと向き合っていませんでした。きちんと愛情込めて焼いていなかったことがはっきりしました。

焼肉屋さんはよく行くんだけど、焼肉でのホルモンって、肉と肉の間の小休止的な位置付けだったりしますよね。焦げやすいのに、話に夢中になって放置してしまったり。多分、丸焦げにしたり、網から落ちるほど焼いて死亡させたホルモンは、今まで100個はあるな。これからは、ホルモンと1対1でしっかり向き合って生きていきます!

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

「山源」は山口さんのお父さんが、現在地の近くで40年前に始めた店だ。従兄弟の蕎麦屋を引き継ぎ、材料を安く仕入れられるといった理由から、ホルモン焼きの専門店に鞍替えした。

「五徳(炭火の上に網を設置するための器具)と炭で焼くのは開店当初からのスタイルです。本当はガスのロースターを導入したかったそうですけど、資金がなかったために仕方なく、安く始められるこの方式にしたそうです。

炎が上がりやすいし、煙も出て大変ですが、今となってはこの炭火焼スタイルの方が雰囲気があっていいと好評です。昨年、ハイパワーの排気ダクトを導入しまして、店内のモクモクは随分解消されました。以前は、スタッフが涙を流しながら焼いているような状態で、それ目当てにTVが取材にくるほどでした(笑)」(山口さん)

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

ハツとコメカミを焼き始めるところで、アルバイトの有衣ちゃんが駆けつけて、焼き手を交代。山口さんが「僕よりも上手い焼きのプロ」と称える手練れのホルモニスト(?)だ。

■上級ホルモニストの秘技

「山源」の数名のアルバイトは、代々大学のつながりで女子大生が務めており、就職するまで3~4年続ける人が多いという。どこもかしこも人手不足のこのご時世に、なんともありがたい話だ。

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

片瀬: ハツ、うまっ! 有衣ちゃんの方が上手って、わかる気がする(笑)。ご主人のも驚きの美味しさだったけど、有衣ちゃんが焼いたのは、香ばしさがまんべんなくて、どこを食べても美味しいの。

ねえ、有衣ちゃんの年頃でバイトするなら、もっとオシャレなところとか、いろいろあるでしょ。カフェでパンケーキ焼いたり。なんで、ここでホルモン焼いてるの?

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

「私、『山源』のホルモンが日本一だと思っていて、この美味しさをみんなにわかってほしくて働いてるんです。それに、せっかく食べていただくなら、ベストの状態で味わってほしくて、焼き加減にはかなりこだわっています。

閉店後に、スタッフ全員でパワーミーティングというのを行っているんですが、ミーティングというのはMEETではなくMEATの方で、要はみんなでホルモン焼きを食べるんですけど(笑)、その時により美味しい焼き方とか食べ方を試行錯誤しているんです。だから『山源』のホルモンは常に進化していると思いますよ。はい、コメカミできました!」(有衣ちゃん)

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

片瀬: (すかさずパクリと口へ)あー、コメカミも肉のパワフルな旨味がたまらんですなぁ。ただでさえ美味しいホルモンなのに、有衣ちゃんみたいに“ホルモンLOVE”の人に愛情込めて焼いてもらえるなんて、最高のお店だわ。

「ありがとうございます! まだお腹いけますか? オッパイもサイッコーに美味しいので、ぜひ召し上がってください。私はハツやコメカミ、ハラミとかの肉系ホルモンの間に、一度オッパイを挟むのが好きなんです」(有衣ちゃん)

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

片瀬: じゃあ、ハラミからの、オッパイ挟み、お願いします! それと、ホルモンのタレもいっときましょう!

それから、もう我慢できない。白いごはんもお願いします!!

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

■底なしの食欲に点火

オッパイはその名の通りおっぱい。焼く前の薄いピンク色の見た目はまるで大トロのよう。こちらも表面をこんがりと焼いていただく。

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

片瀬: 美味しい! これは初めての感覚。やわらかいんだけどサクサクとした食感があって、肉の旨味もしっかりある。クセになりそう。オッパイ挟み、いいアクセント。

そして、ホルモンのタレもいきます。タレのお肉は、やっぱり白飯にワンバンさせながら食べるのが正しい作法でしょ。どれどれ……

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

んーーーータレもいい! タレが甘さ控え目のキリッとしたタイプで、このタレが脂の甘さを一層引き立ててくれてる。ごはんが進む! 赤星もうまい!

次々に焼きあがるホルモンとライス一人前をペロリと平らげた団長の口からは、耳を疑う言葉が飛び出した。

「焼きめしをひとつお願いします!」

団長曰く、焼きめしはデザートとのこと。恐るべし。

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

山口さん特製の焼きめしは、塩味で、具材は玉子とネギだけ。このシンプルで素朴な味わいがまた、ホルモンとの絶妙なコンビネーションを見せる人気の〆だ。

片瀬: ほっとする美味しさ。ホルモンの脂が溶けたタレを垂らせば味変もできるのね。それじゃ、レンゲの上に焼きめし、ホルモン、タレをちょいがけして、特製ミニホルモン丼をつくって……

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

んんん、美味しすぎる! 焼きめしはデザートって言ったけど、余裕でここから折り返せちゃう!(笑)

どうやら団長の底なしの食欲に火がついてしまったようだ。

本物のホルモン焼きに目覚めたアツい夜は、その後、しばらく続いたそうです。

板橋「山源」“ワタシ史上最高ホルモン”に恋した夜

撮影:峯 竜也
構成:渡辺 高
ヘアメイク:窪田健吾
スタイリスト:大沼こずえ
衣装協力/ESSENTIEL ANTWERP(03-3265-0251)
THE KISS×nana katase(0120-58-3333)

この記事シェアする