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団長が行く File No.21

小竹向原「樽見」で日本料理の底力を味わい尽くす

「樽見」

公開日:

あのお店はなぜ時代を超えて愛されるの? お客さんがみんな笑顔で出てくるのはどうして? 赤星探偵団の片瀬那奈団長が、名店の暖簾をくぐり、左党たちを惹きつけてやまない「秘密」を探ります――。

■わざわざ足を運ぶのにはワケがある

地下鉄有楽町線で池袋から3駅目の小竹向原。都心からのアクセス良好ながら、閑静な住宅街が広がるエリアだ。その一角に、知る人ぞ知る日本料理の名店「樽見」はある。片瀬団長は、去りゆく夏と秋の訪れをいち早く感じようと、暖簾をくぐった。

 

小竹向原「樽見」で日本料理の底力を味わい尽くす

住宅地にひっそりと佇む「樽見」は、広い座敷を備えた意外や大きな箱だ。団長は店主の樽見浩司さんの板場での仕事がよく見えるカウンター席に落ち着いた。

何はともあれビールですね、と入店から着席、お手拭き、瓶ビールと流れるような注文。やってきたのはもちろん、サッポロラガービール、我らが「赤星」だ。

――いただきます!

小竹向原「樽見」で日本料理の底力を味わい尽くす

片瀬: ん~~おいしい! キンッキンッに冷えてます。

この日のお通し、自家製のあんぺいを出しながら「ビールはやっぱりしっかり冷えているのがおいしいと思っていましてね。若い方には好評なんですが、たまにお年寄りからもっとぬる目のやつにしてもらえないか、なんて言われることもあるんですけれど」と樽見さんは笑う。

片瀬: ははは。そんなこと言われても困りますよね。ビールをお燗するわけにもいかないし(笑)。はんぺい……なるほど、魚のすり身ですか。お出汁の味がよくしみていておいしい。食欲に火がついてしまいました。

(品書きを見ながら)秋刀魚! 食べたい! もろこしのかき揚げ! 食べたい! 米なす! 食べたい! 車エビ! 食べたい! 心踊るメニューがたくさん並んでいて決められないです! おすすめはなんですか?

小竹向原「樽見」で日本料理の底力を味わい尽くす

「やはり旬のものを味わっていただきたいです。うちのおひたしは季節で食材が変わりましてね、いろんな素材が入っているので楽しんでいただけると思います。それからお刺身ですかね。私自身、お刺身が大好きというのもありますが」(樽見さん)

そんなアドバイスのもと、団長の作戦は固まった。

先陣を切ったのは、件の季節のおひたし。こんもりとした盛り付けが見目麗しく、“この店は盛りがいいぞ”とわかる、うれしい一品目だ。

小竹向原「樽見」で日本料理の底力を味わい尽くす

シャクシャクシャクと目をクリクリさせながら、じっくりとおひたしを味わう団長。

片瀬: いいお出汁の味と心地いい食感。小松菜、シメジ、オクラ、エノキ、油揚げ、ミョウガもいいアクセントになってる。おいしいです、ご主人!

「春はタケノコとワラビなどの山菜、秋は松茸やなめこなどのきのこ、その時の旬を楽しめる野菜、山のものをたっぷり使うことにしていまして。ぜひ季節ごとに来てくださいね」

そう話しながら樽見さんが盛り付けているのは、お刺身の盛込み。このボリュームで「小」1,730円とは、食べる前からお値打ちとわかる。この日は、マダイにシマアジ、ボタンエビ、〆サバ、キンメダイ、そして本マグロの中トロが盛り込まれた。

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片瀬: シマアジ、うまっ! それに、なんとも大ぶりな切り身で、ご主人の心意気も感じます!

「自分が刺身好きなもんだから、ついつい大きく切っちゃって」という樽見さんの話にうんうんと頷きながら、団長は次々と切り身を平らげていく。

片瀬: …マダイ、うまっ! …マグロ、うまっ! …ボタンエビの甘いこと!

(赤星を挟んで)……〆サバ、うーーまっっ!! なにこの〆サバ、衝撃的。あっさりした〆具合だけど、旨味がギューッと詰まっていて、舌ざわりもきめが細かくて、臭み一切なし。あ~これは感動だなあ。

実はうちの父は釣りが大好きでよく魚を持って帰ってきたんですけど、いつもいつも大量のサバだったんですよ(笑)。卸し方や〆方もうまくなかったからでしょうね、家中がサバ臭くって。それ以来、サバにあまりいいイメージがなかったの……サバさん、今まで、ゴメンナサイ!

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■秋の味覚代表、秋刀魚を2通りの食べ方で

樽見さんがこの店を開いたのは平成4年のこと。京都と東京でそれぞれ6年間、日本料理を修行したのちの独立だった。

片瀬: ところで、独立するに当たって、お店の場所をどうして小竹向原にしたんですか? 私は東京出身ですが、恥ずかしながら今まで一度も来た事がなくて……。何区になるのかしら? 練馬区? 豊島区?

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「この辺りは練馬区と板橋区と豊島区の境でして、駅を挟んで練馬区側の小竹と板橋区側の向原が合わさって、駅名が小竹向原となったんです。この店は、祖父の時代からの実家です。祖父は昭和26年にこの土地を買いました。有楽町線が開通し、ここらに操車場ができるという噂を聞きつけて、労働者が増えていずれ発展する街だと見込んだそうです。

祖父がここで豆腐屋を始め、父が受け継ぎました。結局、操車場はもっと先の和光市にできたのですが、祖父も父もこんなに便利な場所になるとは思ってもいなかったでしょうね。銀座も渋谷も横浜も乗り換えなしで行けるようになるなんて」(樽見さん)

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片瀬: 昭和26年って言ったら戦争が終わって間もないころですから、この辺りの風景もずいぶん変わったんでしょうねえ。それにしても31歳という若さで独立して、この店を構えたのはすごいです。

「最初はもっと席数も少なかったんですけどね、いやあ、大変でした。バブル崩壊後で、どこもお金を貸してくれなくて……結局、親のこの土地を担保にして資金を調達して、どうにかこうにか開業できたわけです」(樽見さん)

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京都や東京の名店で修業した確かな料理の腕と懐にやさしい安心価格で、今や界隈では押しも押されもせぬ人気店に。世界的レストランガイドブックの「安くてコストパフォーマンスのよいおすすめ」部門に紹介されたこともあり、遠方から足を運ぶ人も多い。

秋刀魚の刺身がやってきた。生姜と合わせるのもいいが、樽見さんのおすすめはおろしニンニクだという。「ニンニクで!」と即答の団長。パクリとやって目をパチクリさせている。

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片瀬: ほとんど噛んでないのに急速になくなっちゃった。脂が舌の上でとけていって……ニンニクも合うし、さいっこーです!!

(もう一口食べてうっとりしながら)これ、歯がなくてもOK。私だったら眠りながらでも食べられます。って、例えがおかしいか(笑)。

ん? いい匂いがしてきましたよ。そろそろですか?

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■団長の人生ベスト、オールスター茶碗蒸し

続いて塩焼きの登場。今年の秋刀魚は型が良く、ワタまでしっかり味わってほしいからと、尻尾側の半分は刺身で、頭側の半分は塩焼きで供される何とも心憎い趣向である。

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ぷっくりとしたお腹にワタを沸々と煮えたぎらせている。女将の樽見千奈美さんの手が空いている時には、目の前で箸を入れ、秋刀魚の骨を抜き、食べやすく切り分けてくれる。

小竹向原「樽見」で日本料理の底力を味わい尽くす

片瀬: はふはふ……はあ~おいしい。モノがいいし、焼き加減もさすが。身がふっくらしているから、まるで二枚重ねで食べている感じ。そして……赤星が合う! 秋刀魚と赤星、最強の組み合わせだわ。

団長の好物のひとつが茶碗蒸し。バケツいっぱいに作っても平らげる自信があるとか、具では特に銀杏が好きだから、到達位置を変えて一碗に銀杏を4個は仕込んでほしいとか、くだらない話に花が咲く。

そこへやってきたのが、樽見渾身の茶碗蒸し。例のごとく大きな碗で、蓋を開ける前から団長はご満悦。さて、開けてみると……。

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片瀬: ウニだー! そうきたかぁ。これは予想外。どれどれ……いいお出汁の味。ウニ&茶碗蒸し、すごいわ。お、中にはシイタケ、カニ、百合根、銀杏、OH YES!

え!? これはモチ? モチ、大好きなの。モチ&茶碗蒸し、最高!

「こちらのウニ入りバージョンはコースでお出ししている茶碗蒸しです。モチは私が好きだから入れてしまいました。焼きハマグリは、貝の下にモチを敷いて焼くと、ハマグリの汁をモチが吸い込みながら柔らかくなっておいしいんですよ。ならば、茶碗蒸しでも出汁を吸って旨いだろうなと思いまして」(樽見さん)

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片瀬: 大将、これ、発明ですよ! これから私、家で作るときもモチ仕込みます。この茶碗蒸し、すごい。オールスターが勢ぞろい。出ました、人生ベスト茶碗蒸し!

えらく幸せそうな団長の元へ揚げたてのもろこしの天ぷらがやってきた。

こちらはトウモロコシの粒のかき揚げではなく、かつらむきにした板状のトウモロコシを贅沢に揚げた逸品。サクッ、シャリッ、ジュワッの得もいわれぬ食感を楽しめる。シンプルに塩でいただく。

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片瀬: トウモロコシ、甘いなあ、そしていい香り……。猛烈な暑さだった今年の夏に、きちんとお別れできた気分です。

「天ぷらと冷たい赤星との相性もバッチリですよね。赤星って、味はしっかりしたタイプですが、不思議と料理をじゃましないんですよ。素材の味をしっかり引き立ててくれて、食事をまとめてくれるような感じがします」(樽見さん)

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■魅惑の食感がクセになる〆の伊勢うどん

すでに大満足の団長だが、樽見はこのままでは終わらない。秋田の稲庭うどん、新潟のへぎそば、焼きおにぎりなど、魅力的な〆が用意されているが、なかでもイチオシは「伊勢うどん」だ。

女将の千奈美さんの実家が伊勢でうどん店を営んでいたことから、まだ東京では知る人が少なかった26年前から本場の伊勢うどんの味を伝えている。

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伊勢うどんとは、長時間かけて茹でられた太く柔らかい麺をたまり醤油ベースのタレに絡めて食べる、コシを楽しむ讃岐うどんとは対極に位置するご当地うどんだ。団長はこの日、初体験。女将さんのすすめに従い、むらがなくなるまでよく混ぜて、一味をかけていざ実食。

片瀬: 炭水化物好きの私としては、こういう粋な〆があるのはうれしいなあ。どれどれ。

小竹向原「樽見」で日本料理の底力を味わい尽くす

(一口すすって)あ、想像と違った。見た目ほど濃くなくて、上品なお味。麺は今まで経験したことない食感。ふにゃっと柔らかいんだけど、もちっとしたところもあって、小麦の味もしっかり楽しめますね。なにこれ、クセになりそう!

この残ったタレにはごはんを入れたくなっちゃいますね。あげだまも追加したくなっちゃいますよね。卵も入れたくなっちゃいますよね。そうすると、勢いがついてお代わりしちゃたりして……いけない、いけない、無限ループにハマりそうなので、今日はここらへんで(笑)。

はじめての小竹向原で、はじめての味をたくさんいただいて、日本料理の奥深さと楽しさを堪能しました。今日食べられなかったものもありますし、季節ごとの旬をいただきに、また必ず寄らせていただきますね。

小竹向原「樽見」で日本料理の底力を味わい尽くす

――ごちそうさまでした!

撮影:峯 竜也
構成:渡辺 高
ヘアメイク:窪田健吾
スタイリスト:大沼こずえ
衣装協力/ERMANNO ERMANNO SCERVINO
TEL:03-3265-0251

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