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団長が行く File No.10

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

「銀座屋」

公開日:

今回取材に訪れたお店

銀座屋

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あのお店はなぜ時代を超えて愛されるの? お客さんが笑顔で出てくるのはどうして? 赤星探偵団団長・尾野真千子が、名酒場の暖簾をくぐり、左党たちを惹きつけてやまない「秘密」を探る――。

■初の大阪遠征で向かった先は

「関西へ行くわよ」――。

尾野真千子団長の鶴の一声で、赤星探偵団初の大阪遠征が決定した。

サッポロラガービール、通称「赤星」は、関東地域で比較的多く流通している。しかし、赤星にはコアなファンがついており、大阪にも「ビールなら赤星を出したい」という店、そして「赤星が飲めるからあの店に行こう」という客は多い。

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

今回の遠征の目的は、浪花の赤星ファンに愛される店を調査すること。まず狙いを定めたのは巨大な迷路のような造りから“大阪ダンジョン”とも呼ばれる梅田駅南側の地下街だ。

東梅田駅、西梅田駅、北新地駅に囲まれたエリアに、「大阪駅前ビル」が第1から第4まである。各ビルの地下1階・2階は大小の店舗が連なっていて、各地下街と連結している。飲食店はラーメン、居酒屋、食堂、中華、洋食、立ち食いうどん、純喫茶となんでもある。それからやたらと金券ショップが多く、ゲームセンター、占い、鍼灸院……花屋や八百屋まである。

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

目移りしながら歩いているとすぐに方向感覚を失い、思いもよらぬ方へと進んでいってしまう。まさに“ダンジョン”。大阪の地下街は非常に難解で迷いやすいというが、ここは中でも難易度の高いエリアだ。

「あ、ここだ」と団長がようやくたどり着いたのは、大阪駅前第1ビル地下2階の一角にある立ち飲み店「銀座屋」。14時の開店早々に乗り込んだ団長が口開けの客だった。

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

尾野: いやー、もう喉がカラッカラ。瓶ビールをお願いします!

やってきたのはもちろん赤星だ。

尾野: 大阪でも会えたね、赤星くん。では、さっそく、いただきます!

は~~、幸せ。それにしても私、赤星を飲むようになってビールの手酌が上手くなったわね。泡とビールのいいバランス、自然にできてる。うん、味もよし。

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

■赤星ファンが集う浪花の“聖地”

「銀座屋」という名の立ち飲みの人気店はここからほど近い天満にもあるが、経営は別で内容も違っているとのこと。こちらの「銀座屋」は店主が知り合いから名前を借りて営業しているそうだ。

そんなことを知ってか知らずか、わざわざ目指してきたのか、通りすがりなのか、客が次から次と躊躇なく入ってくる。ビールは各銘柄用意されているにもかかわらず、大半の客が迷いなく赤星を注文する。ここ大阪にも「赤星天国」は、あった。

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

尾野: えっ、赤星、350円なの? 大瓶で? ウソでしょ。日本一安いんじゃない? そして、まあ、おつまみも安いこと。揚げ物や焼き物、その日のお魚のお造りなんかもいろいろありますよ。さあ、何をいただきましょうか……。

店員さんに「おすすめは?」「そうですね、一品目には、牛たたきとか、牛すじポン酢なんかがよく出るね。あと、今日はいわしもいいのが入ってますよ」なんてやりとりがありまして、団長が頼んだのは、牛たたきといわし梅しそフライ。どちらも180円というから驚く。

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

やってきた牛たたきは、程よく火が入った赤身肉にポン酢がたっぷり、量もしっかり。これはお値打ちだと団長も目を丸くする。

いわし梅しそフライは揚げ立てのアツアツがやってきた。熱いとはわかっているけど、この瞬間にかぶりつきたくなるのが人情だ。

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

尾野: これはもう、手でいっちゃうよ。あ、は、はふ、は、ふ、おいひー。(すかさず赤星をきゅっとやって)くーーーつ、たまりません!

■立ち飲みならではのあったかさ

水曜日の14時すぎだというのに、「銀座屋」へは次々と客が入り、次第に熱を帯びていく。はじめはゆったり使っていたカウンターも、すき間が埋まってくると客同士の妙な一体感が生まれてくる。

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

赤星1本目ではそれぞれ店内のテレビに視線を注いでいた見知らぬ客同士が、2本目に入ったあたりで、健康診断の話で盛り上がっていたりする。この空気感がたまらない。

尾野: 社長、おいしいです! 繁盛してますね、えらいもうかってはるでしょ。

「いや、ちょっと待ってください。ぜんぜんもうかってませんって。この値段見たらわかるでしょ」と笑うのは、代表の藤本秀樹さん。店は6年前にオープンしたと言う。

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

「はじめは今の半分の広さでやってましてね、隣の店舗が空いたんで壁をぶち抜いてニコイチにしたんですよ。混んでると何人ぐらい入るか? マックス70人くらいちゃいますか。平日の夕方からはスーツ姿のサラリーマンで店内が真っ黒になります」

尾野: もうかってまんなー。

「だから、もうかってませんって(汗)。店広げたのもビールケースを置くスペースがなくて、泣く泣くです。瓶ビールは1日20ケースぐらい空くんですよ。店の規模にしてはってことなんですかね、サッポロさんの瓶ビールを日本一売ってる店だなんていう噂も聞いたことがありますね」(藤本さん)

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

尾野: 混雑時はみんな肩を斜めに入れて立つ、あの感じになるわけですね。ダークダックススタイル。古いか(笑)。でも、ここ、後会計でしょ。メニューも多いし大変でしょ、わけわからなくならない?

「大丈夫です、うちのスタッフは優秀なんで(笑)。お客さんも慣れてはって助かってます。はい、コンビーフねぎマヨPきました。これもビールのアテに人気ですよ。好きなようにかき混ぜてつまんでください」(藤本さん)

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

尾野: わーい、ありがとう。こんなに瓶ビールがたくさん飲まれている店もめずらしいよね、生ビールも他の飲み物もたくさんあるのに。お客さんの年代も幅広くて、みんなに愛されてるんですね。

「おかげさまで、ありがたいことです。女性のおひとり様も多いんですよ。それから、平日夜の常連さんが土曜日に家族連れで来てくれはったり。『お父さんは普段ここでお酒を楽しんでいます』って子どもや奥さんに誇らしげに紹介している様子を見ると、店やっててホンマによかったなあ思います」(藤本さん)

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

■赤星酌み交わすも多生の縁

「あ、あのー、尾野真千子さんですよね? 握手してもらってもいいですか?」と声をかけてきたのは、近くで飲んでいたコウキさんとキヨコさんのカップル。

「どうぞどうぞ、こっちで一緒に飲みましょ」と団長もうれしそう。

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

「こういう庶民的なお店にも来はるんですね。大女優さんやから、声かけてええもんか迷いました」(コウキさん)

尾野: 来る、来る。静かな個室の店より、みんなでワイワイやっているこういうお店のほうが好きなの。ラーメンだって牛丼だって、全然、一人で入っちゃう。牛丼屋で「尾野さんですか?」って声かけられたら、「違います!」で押し通すけど(笑)、立ち飲みだったら、声かけてもらえるのは逆にうれしいかな。

遠目からチラチラ見られているより、「尾野さんですよね、乾杯しましょう」と声かけてもらえるほうが気がラクだし。東京の人よりも大阪の人は声かけてきてくれるね。なんか違う、あったかいわ。

「でも、あんまり騒がれても、うっとーしくないですか?」(コウキさん)

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

尾野: そりゃあ正直ほっといてほしいときもあるよ。でも一番悲しいのは誰にも気づいてもらえないことやね。

だから、ありがとう、コウキさん、キヨカさん。今日はお休み?

「私、不動産業でして、平日がお休みなんですよ。今日はふたりでバッティングセンターに行ってきましてね、運動して汗かいたからビール飲んでこって」(コウキさん)

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

尾野: 今日はデートでしょ。「座れるとこじゃなきゃいや」とか言わないの?

「私のほうこそ立ち飲みが好きなんですよ。座れると根っこが生えちゃって何時間でも飲み続けてしまうんで。立ち飲みだとキュッと飲んでピャッとええ気分で帰れるやないですか。いやー、それにしても、尾野さんのおかげで今日が急に楽しい日になりました」(キヨカさん)

「おい、急にって、なんやねん! バッティングセンターも楽しかったやろ。いや、でも、ホンマですわ、尾野さん、ありがとうございます」(コウキさん)

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

尾野: はははは。ふたりの自然体の姿が、赤星の最高のお供になりました。こちらこそ、ありがとう。

じゃ、赤星がつないだこのご縁にあらためまして、カンパ~イ。はい、うしろの若者たちも、カンパ~イ。

梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

――ごちそうさまでした!

撮影: 峯 竜也
構成: 渡辺 高
ヘアメイク: 石田あゆみ
スタイリスト: もりやゆり
衣装協力/RITSUKO SHIRAHAMA、ANNC、trim、mint jam
RITSUKO SHIRAHAMA、ANNCの問い合わせ先/ラタン7(03-6419-7871)

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