昭和なアニキが語る定番服と赤星の名店「アニ散歩」
日本酒おばんざい 梵

公開日:2019/04/25 <47本目>

美人女将で気絶した立ち飲みとは?

桜が散る頃、いつも思い出すことがある。そんなセンチメンタル気分で俺は西荻窪へ向かった。もう一度会いたい美人女将がいるからだ。

昭和な商店街を抜けていく。すっかり春の陽気なのでソラーロのスーツで「日本酒おばんざい 梵」を目指す。

暖簾のない酒場に入ると着物姿の女将、小林麗さんが迎えてくれた。これで会うのは2回目で、つい先日偶然ここで「赤星」を見つけたのだ。いや必然だったのかもしれない。

まずはルービーとポテトサラダを注文。後ろ姿も凛としている。「麗ちゃん、アニがとう」と心の中で呟いてみた。

コの字の長いカウンターはこの立ち飲みサイドが俺にはしっくりくる。夕方4時から飲めて着物の麗ちゃんがいる。つまり最&高ということ。

「麗ちゃんが注いでくれたらどんな味がするのだろうか?」いかん、何を考えているんだ?油断するな。いつものスタイルで俺らしく注げ。

何かがいつも「赤星」と違う。いつもよりさらにウマいのはきっと春のせいだろう。

ポテサラはシンプルで俺好みの味だ。麗ちゃんの手作りに違いない。いや油断するな。冷静にいけ。

俺が俺らしく酔えばいいだけだ。麗ちゃんと話すのは注文をする時だけでいい。いかん、撮影中ということを忘れていた。それでは取材にならないぞ。DON’T THINK FEEEEEL!感じるままでいい。

炙りしめ鯖でクールダウン。ルービーがすすむ。

なに?もう1人、笑顔の素敵な着物姿の女性がいたのか?油断しまくっていた。めちゃくちゃ笑っている。俺はすかさず、赤いウインナーを注文。

麗ちゃんが焼く赤いウインナーはどんな味なのだろうか?あの笑顔の女性は誰なんだ?

タコちゃんがウマすぎる。「麗ちゃん、美味しかったです!」と心の中で叫んでいた。とその時、かすかな気絶の予感がしてきた。

赤星★気絶・・・麗ちゃん降臨!何が起きたのかほとんど記憶にない。気絶の向こう側のかすかな記憶が蘇る。きっと幻か夢だったのだろう。

立っているだけで、精一杯だった。酒とは、やはり酒場、人、料理が全て揃ってウマいものなのだろう。

銀だらの西京焼きを食べながらもまだ夢の途中。いやウマいのだから現実なのだろう。もうどっちでもいい。とにかく春とはそうゆうものだ。

その横顔に思い切って話しかけてみた。「すいません、せっかくなので日本酒もください」と。

これを期待していたわけではない。ただ目の前で日本酒が注がれているだけだ。クールにいけ。

きっと麗ちゃんの故郷の酒だろう。店名と同じ「梵」は福井の酒だ。

しみる。ただしみる。もう俺の中で俺の妄想が止まらない。きっと麗ちゃんは地元福井でこの酒を家族と一緒に飲んでいたのだろう。なんだかわかるぜ、麗ちゃん。家族って何よりも一番大切なものだよな。

きっと右の笑顔の女性は妹だ。名前は蘭だろう。福井から上京して姉妹のたった2人で「梵」を営んでいるに違いない。麗ちゃんは、石川県の旅館や京都の小料理屋とか、さらに居酒屋で勉強して店を始めたのだろう。プライベートでは立石とかにも飲みに行っているに違いない。勝手な俺の妄想だから少し間違っているかもしれない。でもそれでいいのだ。

俺は「梵」を出てしばらく散歩した。もう一度「赤星」を飲んで俺が俺らしく俺を取りもどそう。そして今度「梵」に行く時は麗ちゃんと一言でもいいから注文以外に何か話そうと・・・・。

ザ ソブリンハウスのソラーロスーツ。玉虫のようにベージュが、やや赤と緑に光る独特の生地がソラーロの魅力。イギリスのファブリックだがイタリア人が好んで着ている。パンツはベルトループ無しのサイドアジャスターでクラシックなディテールもたまらない。

Text:Eiji Katano
Photo:Shimpei Suzuki

店舗情報

日本酒おばんざい 梵

[住所] 東京都杉並区西荻窪2-24-7 YT西荻窪1F

[TEL] 03-5941-7617

[URL] https://tabelog.com/tokyo/A1319/A131907/13196778/

[営業時間]

16:00〜24:00
定休日 不定休

【プロフィール】

片野英児(かたのえいじ)
1968年生まれ。昭和とメンズ服飾を愛してやまない48歳。小誌編集長の干場(ほしば)がアニキと呼んだことから、いつしかアダ名がアニキに。趣味は、スナックで昭和カラオケ。呑みすぎると、歌いながら、なぜか干場と泣き合う熱き男。好きな場所は軍艦島。

『美人女将で気絶した立ち飲みとは?』
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亀戸二丁目団地の「不思議な蕎麦屋」に行ってみた

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神田「眠庵」酔客も目を覚ます鮮烈な蕎麦の香り

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有楽町で「この店」を知らずにきた痛恨事

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神田小川町「ポンチ軒」の厚切りとんかつに赤星を

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横浜・伊勢佐木町に「渋いおでん屋」がある。

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外苑前「楽記」で本場仕込みの焼味を赤星と

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府中駅前の再開発を生き抜いた名酒場で一献

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湯島「シンスケ」で老舗酒場の進化を堪能する

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高円寺の夜は、貝の甘みに酔いしれて…

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浅草・観音裏に、裏を返したい名店がまた一軒

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千駄木「三忠」で1年分のタコを喰らう?の巻

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File No.30

  
「立川一お気楽な店」というコピーは嘘ではない

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湯島の老舗酒場で思いを巡らせた「岩手の4年半」

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File No.11

  
難波「酒肴 哲」路地裏で出合った至高のおでん

あのお店はなぜ時代を超えて愛されるの? お客さんが笑顔で出てくるのは・・・

100軒マラソン

File No.28

  
新宿「思い出横丁」には、素通りできない名店がある

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File No.10

  
梅田「銀座屋」カオスな地下街に潜む赤星の“聖地”

あのお店はなぜ時代を超えて愛されるの? お客さんが笑顔で出てくるのは・・・

100軒マラソン

File No.27

  
お大師様の裏手で唸る、絶品水炊きチャンコ鍋

100軒マラソン

File No.26

  
上板橋の下町的な雰囲気に、杯と箸が止まらない

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File No.9

  
赤羽「立ち飲み いこい」せんべろの洗礼

あのお店はなぜ時代を超えて愛されるの? お客さんが笑顔で出てくるのは・・・

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100軒マラソン

File No.25

  
佐島に揚がる旬の魚介に、野毛再訪を決意した夜

団長が行く

File No.8

  
浅草「飯田屋」で36歳の“どぜうデビュー”

あのお店はなぜ時代を超えて愛されるの? お客さんが笑顔で出てくるのは・・・

ポテサラ酒場

File No.9

  
最後は自分で……混ぜて完成させるポテサラ

酒のつまみは数あれど、とりわけポテトサラダをこよなく愛すマッキー牧・・・

100軒マラソン

File No.24

  
猛暑の昼下がり、「魅惑の地下街」でひと休み

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100軒マラソン

File No.23

  
変わりゆく歌舞伎町の、変わらない赤提灯

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File No.22

  
にぎやかで穏やかな下町に見つけた「鮎の里」

団長が行く

File No.7

  
中野「らんまん」旬の肴で春を愛でた夜

あのお店はなぜ時代を超えて愛されるの? お客さんが笑顔で出てくるのは・・・

100軒マラソン

File No.21

  
「大井町」は呑兵衛の期待を裏切らない。

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100軒マラソン

File No.20

  
蕎麦前から締めまで、流れる時間に、文句なし。

100軒マラソン

File No.19

  
東京の東の果てに、もつ焼きの名店がある。

団長が行く

File No.6

  
神田まつや、江戸前の老舗で愉しむ“蕎麦前”の味

なぜアノお店は時代を超えて愛されるの? お客さんが笑顔で出てくるのは・・・

ポテサラ酒場

File No.8

  
白と赤のコントラストが美しい異色のポテサラ

酒のつまみは数あれど、とりわけポテトサラダをこよなく愛すマッキー牧・・・

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100軒マラソン

File No.18

  
競輪で惨敗しても、大宮にはこの店がある。

100軒マラソン

File No.17

  
私が新宿の名酒場を遠巻きにしてきたワケ

ポテサラ酒場

File No.7

  
ジャガイモとサツマイモを使った“二刀流”ポテサラ

酒のつまみは数あれど、とりわけポテトサラダをこよなく愛すマッキー牧・・・

100軒マラソン

File No.16

  
幡ヶ谷のクジラに時のうつろいを思う夜

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100軒マラソン

File No.15

  
京浜東北線には、素通りできない駅がある。

100軒マラソン

File No.14

  
老舗の「風情」に浸りながら肉を炙った夜

100軒マラソン

File No.13

  
下町エリアのやきとんは、ココを抜きには語れない

ポテサラ酒場

File No.6

  
「育ちのいいラッパー」がいる一家団欒ポテサラ

酒のつまみは数あれど、とりわけポテトサラダをこよなく愛すマッキー牧・・・

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File No.12

  
東京の東側、錦糸町には“ヤバい”店が潜んでいる

100軒マラソン

File No.11

  
新橋は烏森口、こんな店を知らずに来たなんて…

ポテサラ酒場

File No.5

  
いもに秘密あり!インスタジェニックなポテサラ

酒のつまみは数あれど、とりわけポテトサラダをこよなく愛すマッキー牧・・・

100軒マラソン

File No.10

  
田端駅北口、驚異の「魚河岸料理」に痺れた夜

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団長が行く

File No.5

  
自由が丘「金田」で今宵、“酒学校”の生徒になる

なぜアノお店は時代を超えて愛されるの? お客さんが笑顔で出てくるのは・・・

100軒マラソン

File No.9

  
浅草六区、往時の賑わいを物語る“IRIBUTA”の味

100軒マラソン

File No.8

  
浅草・観音裏のカウンターで感動的な「雪辱戦」

ポテサラ酒場

File No.4

  
パクチーとナンプラー香るオリエンタルなポテサラ

酒のつまみは数あれど、とりわけポテトサラダをこよなく愛すマッキー牧・・・

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団長が行く

File No.4

  
浅草「大多福」出汁の香りに包まれる”口福”な時間

なぜアノ居酒屋は時代を超えて愛されるの? お客さんが笑顔で出てくるの・・・

100軒マラソン

File No.7

  
「大人の街」赤坂で思い出す、あの頃の匂い

赤坂は、懐の深い街ですな。テレビ局、大手広告会社、商社に建設、メー・・・

ポテサラ酒場

File No.3

  
食感と味に仕掛けあり!食べ飽きないポテサラ

酒のつまみは数あれど、とりわけポテトサラダをこよなく愛すマッキー牧・・・

100軒マラソン

File No.6

  
料亭街の「大衆酒場」で店主の心意気に降参寸前

はなはだ唐突ではございますが、向島というのは、縁遠い街でございます・・・

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団長が行く

File No.3

  
森下「山利喜」は和洋ハイブリットの煮込みで決まり

なぜアノ居酒屋は時代を超えて愛されるの? お客さんが笑顔で出てくるの・・・

ポテサラ酒場

File No.2

  
親父の「旨い!」がヒントになった名物ポテサラ

酒のつまみは数あれど、とりわけポテトサラダをこよなく愛すマッキー牧・・・

100軒マラソン

File No.5

  
神田の老舗、これぞ由緒正しき「東京酒場」

昔から、酒場へ行くときは、下から目線です。そう、上から目線の反対。・・・

団長が行く

File No.2

  
赤羽「まるます家」は朝から“晩酌”ほろ酔い天国

なぜアノ居酒屋は時代を超えて愛されるの? お客さんが笑顔で出てくるの・・・

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100軒マラソン

File No.4

  
京王線中河原「ご近所酒場」はまだ宵の口

自宅の近くに行きつけの酒場をもつのは、飲兵衛にとってはとても大事な・・・

100軒マラソン

File No.3

  
新宿「思い出横丁」で噛みしめるコブクロの味

野方、荻窪を巡ってきました赤星100軒マラソン。スタートしたばかりでは・・・

ポテサラ酒場

File No.1

  
コクが際立つ絶妙の味付け 渋谷「松濤はろう」

酒のつまみは数あれど、とりわけポテトサラダをこよなく愛すマッキー牧・・・

100軒マラソン

File No.2

  
路地に吹く夕風は「煮込み」の薫りを纏っていた

瓶ビールをよく飲むし、私の行く店には昔ながらのラガービールが置いて・・・

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団長が行く

File No.1

  
吉祥寺「いせや」では煙までもが“アテ”になる

なぜアノ居酒屋は時代を超えて愛されるの? お客さんが笑顔で出てくるの・・・

100軒マラソン

File No.1

  
やきとん界「西の横綱」は今日も進化が止まらない

この店のビールはなぜ「赤星」なのか・・・。ある日、なじみの飲み屋で・・・

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