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アニ散歩 File No.29

気絶するほどウマイ!幻の煮込みとは?

「煮込 蔦八」

公開日:

クラシックなジャケットといえば、紺ブレだ。デニムからウールのパンツまで合わないボトムはない。この秋は王道のチノパンで、究極に普通ってのがナチュラーレな気分。

そんなお気に入りのブルックス ブラザーズの紺ブレを着て、リアルな昭和酒場を目指し大森へ。

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大森といえば、山王口の地獄谷が有名な横丁だが、俺が向かったのは東口にある名もなき横丁だ。

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おそらくスナックが50軒以上は入っている大森飲食街ビル。昼下がりに聞こえてくるラブイズオーバーが心に沁みる。歌いたい気持ちをグッと抑え振り向いてみると。

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ここだ!赤提灯に引き寄せられるように「煮込 蔦八」へ。

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完璧すぎるコの字!リアルな昭和酒場のカウンターは強烈な何かを放っているもの。

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まずは壁一面の短冊メニューを眺め、迷う自分を楽しむ。

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歴史の染み込んだカウンターに一人座り、いつものこいつを注ぐ。

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俺が俺を取り戻す時。男にはそんな時間が必要だ。

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カウンターの目の前には店主の土屋さん。この方がいなければ「煮込 蔦八」は消滅していた。2015年の3月に一度閉店した店を土屋さんが引き継ぎ、同年9月に復活再生させたのだ。詳しい物語は後にしよう。

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復活した幻の煮込みは見ているだけで興奮してくる。

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このカラー札は独特の会計システムで、絶滅寸前の貴重なもの。

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自分の席の台に、注文したメニューの札を刺していく。煮込みを注文し札を挿入。

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こいつが、どうしても食べたかった煮込み玉子トッピング。シンプルな佇まいでクラシックなルックスがたまらない。

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強烈に美味い。こりゃあ気&絶だ!新鮮な和牛モツが柔らかすぎる。醤油ベースで、どこか九州のうどんのような出汁の効いたスープもゲキウマだ。

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一度閉店する前のメニューは、煮込みの他に数品しかなかったと聞き、そのオールドメニューを2品注文してみることに。まずは鯵の南蛮漬けを。

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続いて、ねぎぬた。渋すぎる!クラシックな2品は老舗の歴史を感じさせ「赤星」にもよく合う。

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お店を復活させる際に、大衆酒場にふさわしい多くのメニューを土屋さんは増やした。その中でも俺が気になったのがこのカレーコロッケ。

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10月中は店先でも飲めるってことで外に移動。夕暮れの風が気持ちい〜

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カラー札も忘れずに移動するべし。しかしこのカレーコロッケ、薄めの衣に濃厚なカレー味でめちゃくちゃ美味い。カレールウがそのまま入ってるんじゃないかってくらい濃い。

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「美味すぎる!」と俺が叫んでいると、何か視線を感じる。微笑みかける美女の視線か?一体誰なんだ?逆ナンパか?

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いきなり「そのカレーコロッケは私が作っているのよ」と・・・・・・気&絶!リスペクトの気持ちを込め、すかさず「赤星」を注ぐ俺。実はこの方は店主の土屋さんのお母さんだったのだ。予期せぬ出会いに乾杯!

気絶するほどウマイ!幻の煮込みとは?

再びカウンターに戻り、創業当時から使用され続けている木升で酒をいただく。よく見ると、持つところがすり減り湾曲しているのがわかる。

気絶するほどウマイ!幻の煮込みとは?

沁みるなあ〜さっきのスナックビルで「酒よ」でも歌いたくなってきた。

気絶するほどウマイ!幻の煮込みとは?

酔いも回ってそろそろ〆にするかな。煮込みのスープが美味すぎたので、最後にうどん入れて食べたいと話していると、なんとメニューにあるってことでこれ。

気絶するほどウマイ!幻の煮込みとは?

〆のうどんはシンプルに煮込みのスープをかけたもの。

気絶するほどウマイ!幻の煮込みとは?

気&絶からの昇&天!これは完全にヤバいやつ。強烈にヤバい美味さ。

気絶するほどウマイ!幻の煮込みとは?

最後に「煮込 蔦八」の復活ストーリーを。昭和45年に創業し多くの飲兵衛に愛され続けた名店は時が経ち、先代の大将が亡くなり、女将さんが後を引き継ぐことに。しかし高齢により店をたたむことを決意したその時、お客だった現店主の土屋さんが、煮込みのレシピを学び、お店を復活させたのだ。歴史ある昭和酒場は店主の高齢化と後継の問題で絶滅してしまうことが多い。

土屋さんは銀座で飲食店を経営しながら、古き良き酒場を復活再生させた。店構えはできるだけ昔のままで維持し、メニューを増やすなど時代に合わせて変えるべきところは変えている。

「煮込 蔦八」の煮込みは、その伝統ある歴史の美味さだけでなく、きっと土屋さんの情熱と愛が隠し味として効いているのだろう。

気絶するほどウマイ!幻の煮込みとは?

ブルックス ブラザーズのネイビーブレザー。紺ブレの中でもそのオリジナルと言われる永遠の名品。完成されたややゆったりしたフォルムはトレンドに左右されずいつの時代も着ることができる。スリーパッチは現行品には無いヴィンテージの魅力とも言える。

Text:Eiji Katano
Photo:Shinpei  Suzuki

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