昭和なアニキが語る定番服と赤星の名店「アニ散歩」
グリルエフ

<10本目>

グローバーオールのダッフルコートと「グリルエフ」のハヤシライス

小学生の頃から着ているコートはダッフルコートだ。確か、初めて着たのは武蔵小山の商店街で母親が買ってくれたもの。ネイビーのノーブランドのものだったと思う。今でも定番服好きなのは、そんな母親の影響だ。感謝している。

大人になって本物のダッフルコートが着たいと手に入れたのは英国老舗ブランドのグローバーオールだ。70年代の古着で分厚いメルトン生地がずっしりとした男っぽいダッフルが俺にはしっくりくる。ボトムはホワイトデニムでトグルは全て上まで留め、向かったのは俺が生まれた街、五反田だ。

駅前の路地裏を入ると、なんとも怪しげな蔦のからまった建物がある。知る人ぞ知る洋食屋の「グリルエフ」だ。赤星探偵団は赤星が飲める酒場を紹介しているが、今回のアニ散歩は洋食屋で厳密には酒場ではない。

ガキの頃から昭和な洋食屋でビールを飲む大人の男に憧れていた。洋食屋でも飲めれば俺にとっては昭和な酒場と同じなのだ。

入り口の看板が昭和のオカルト映画のようでもあり、どこかアダルト感も感じる。

店内は、まるで映画のセットのようで完全に時が止まり洋食屋というよりパリのビストロのようだ。年季の入り方がハンパない。

まずはいつもの赤星を注文。

大人の洋食屋で赤星を飲む……。大衆酒場で飲むのとはまた違った格別の美味さだ。

まずはカニコロッケ。洋食屋はメニューが多いので迷ってしまうが、フライもので赤星を飲み、メインはご飯ものと今日は決めている。

ナイフとフォークでダンディにいただく。

ここのカニコロッケは中身にしっかりと味がついているのでソースはかけず、そのまま食べるのが俺流。薄目の衣でサクサク感の後にマイルドなカニ炸裂の中身がシビれるほど美味い。

「グリルエフ」でぜひ食べていただきたいのがハヤシライスだ。ただしこれは裏メニューなのでお店のメニューには存在しない。元々フランス料理店として開業した歴史からご飯ものはのせていないというポリシーなのだ。

年季の入ったフライパンで牛肉と大量の玉ねぎがダイナミックに炒められる。

横には、なんと昭和25年の創業時から継ぎ足しで半世紀以上作り続けられているデミグラスソース。ビーフシチューやハンバーグなどあらゆるメニューに使用される魂のソースだ。

一般的なハヤシライスのように煮込むのではなく豪快に炒めた牛肉と玉ねぎに歴史を感じさせるデミグラスソースをかける。

強火でサッサッと素早くあえたらできあがり。簡単に真似できない職人芸だ。

黒すぎる……。かなり黒くて具が強烈にでかい大人のハヤシライスは、ここでしか食べることができない。

躊躇せず一気にご飯にぶっかける。

洋食でありながら男っぽい豪快さも感じる堂々たるルックス。牛肉の旨味と玉ねぎの甘さにほろ苦いデミグラスソースがからむアダルトな美味さ。マジで美味い!!黒さとほろ苦さは、ご飯ものなのに赤星にも合うから不思議だ。

シェフの長谷川さんは42年前から先代の味を守り続けている。「グリルエフ」のデミグラスソースは創業昭和25年の66年前から今も変わらない。注文を受けてからひとつひとつ心を込めて作るので時間もかかるが、逆に待っている時間もそのひと時を楽しんで欲しい。

手作りにこだわり創業当時からの内装のままで、調理器具は手入れしながら大切に使い続けている。

ガキの頃に食べたハヤシライスとは一味違った大人のハヤシライスを1人、路地裏のクラシックで昭和な洋食屋で赤星を飲みながら食べる……そんなダンディズムも悪くない。

元々は漁師の作業着であり英国海軍が使用していた背景から実は男っぽいダッフルコート。古着で手に入れてからトグルのレザーループをリペアして、もう10年近く愛用している。グローバーオールのような英国の老舗ブランドをチョイスすれば、トレンドとは関係ない完成されたフォルムなので長年着続けることができるのだ。

Text:Eiji Katano
Photo:Mamoru Ichikawa

店舗情報

グリルエフ

[住所] 東京都品川区東五反田1-13-9

[TEL] 03-3441-2902

[URL] https://tabelog.com/tokyo/A1316/A131603/13001552/

[営業時間]

営業時間 11:00~14:30
17:00~21:00

定休日 日・祝

【プロフィール】

片野英児(かたのえいじ)

1968年生まれ。昭和とメンズ服飾を愛してやまない48歳。小誌編集長の干場(ほしば)がアニキと呼んだことから、いつしかアダ名がアニキに。趣味は、スナックで昭和カラオケ。呑みすぎると、歌いながら、なぜか干場と泣き合う熱き男。好きな場所は軍艦島。

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