世代間ギャップも一瞬で埋めてしまう、赤星にはそんな不思議な力がある。では昭和オヤジとギャルがグラスを重ね合わせたら、どんな話題で盛り上がるのか? 互いの世代の文化や考え方、お酒の楽しみ方…お酒をこよなく愛する玉袋筋太郎さんと、トレンドに敏感な『ViVi』ゆかりのタレントが、世代のギャップを超えて酒場で交流します。
玉袋さんが40年通う、昭和居酒屋
サブカルの聖地として知られる人気の街・中野。飲食店も、居酒屋から喫茶店まで、昭和の雰囲気を残した通好みの店がひしめいている。そんな中でも、とくに地元の人たちに愛され続けている一軒が「第二力酒蔵」。昭和37年創業の、新鮮な魚介料理を提供する大人気居酒屋だ。
実はこちらは、芸人・玉袋筋太郎さんの行きつけ。前回の対談で、古畑さんが「昭和の居酒屋に行きたい!」と希望したことを受け、玉袋さんが招待してくれた一軒だ。
古畑 すごく素敵な居酒屋ですね! まだお昼なのに、1Fはもうほとんど席が埋まっていてびっくりしました。
玉袋 14時にオープンするや、すぐ満席になるからね。どのメニューもとにかく美味しいんだ。でも最初はやっぱり刺し盛りと赤星で乾杯だね。
全200席と店内は広々! 平日の夜でも常連客でいっぱいになるそう。
赤星と新鮮なお刺身でかんぱい!
まずはお刺身を! 刺身おまかせ二人前盛り
古畑 えー、美味しそう!! めちゃくちゃ新鮮!
玉袋 じゃあ早く飲もうぜ! 1杯目のビールはできるだけ早く飲めって、オヤジの教えなんだ。
古畑 何ですか、それ!(笑)じゃあ急がなきゃ。かんぱーい!!
玉袋 乾杯!! あー、染みる!!
古畑 今日もたくさん飲んでください!(笑)
待ちきれないように一杯目のビールをごくりと飲む玉袋さん。ソワソワしていた気持ちがやっと落ち着いたよう(笑)。
一方の古畑さんは、いつもとは違うタイプのお店での一杯が新鮮なようで、早速、玉袋さんにいろいろ質問。
古畑 こちらは通うようになってもう長いんですか?
玉袋 中野には長く住んでいたからね。でもここは、めちゃくちゃ高くはないけど安いって店でもない。だから駆け出しの頃は来られなくて、仕事が軌道に乗るようになってから通うようになったんだよ。
古畑 えっ、じゃあもう何十年も通っているってことですか!? すごい! 私もそんな店、見つけたい!!
玉袋 20代の頃から通っているから、もう40年近くになるかな。とくに江頭2:50とは、一週間に10日ぐらい通ってたよ。
古畑 計算おかしいですから!(笑)
と、まだ会話が始まって数分も経たないのに、早くも玉袋さんのビールは2杯目に突入。馴染みの店の心落ち着く空間に、ついついペースが早まってしまうよう。
時給換算60円⁉︎の下積み時代
玉袋 いきなり鯛にいっちゃおうかな。うーん、弾力があって相変わらず旨いね!
古畑 じゃあ私はトロを。
玉袋 ワサビ、つけないのかい?
古畑 食べられないんです!
玉袋 何だよ、子どもだなあ!(笑)
対談も第二回となると、気心知れたもの。ビールグラスを片手に、お互いの仕事観、ひいては人生観にまで話は膨らんでいった。
古畑 玉さんはたけし軍団にいらっしゃったんですよね? それってどうやったら入れるんですか?
玉袋 俺、家が新宿だったんだよね。で、ラジオの『ビートたけしのオールナイトニッポン』の大ファンだったんだけど、たけしさんたちが収録後、四谷の焼き肉屋で打ち上げするって聞いて、行って待ってたんだよ。そんなことするガキは誰もいないから、「おう、お前も食ってけよ」って。それで名前を覚えてもらって、「卒業したらどうすんだよ、うち来いよ」って話になったわけさ。
古畑 えー! そうやって入るんだ!
玉袋 俺がかわいかったからじゃないの?(笑)星夏ちゃんは、どうやってモデルになったの?
古畑 私は『ニコラ』というティーン雑誌のオーディションを受けて、そこからです。
玉袋 子どもの頃から稼いでたんだ!
古畑 お給料は親が管理していたので、よく知らないんですよ。
玉袋 親に巻き上げられてたんだ?
古畑 違います!!(笑)
玉袋 俺は駆け出しの頃は、9時から19時まで劇場の仕事をして。で、その劇場の社長がスナックも経営していたもんだから、その後はそこでまた働かされるんだよ。時給60円で。
古畑 当時はそれが普通だったんですか?
玉袋 普通じゃないよ! 忙しすぎて、86キロあった体重が3ヵ月で58キロになったからね。キツかったけど、芸能界なんてそんなもんなだと思っていたし、何よりやりたかったからね。
古畑 そこからどうやって上り詰めたんですか?
玉袋 やっぱ、このまま十羽ひとからげじゃいけないと思ってさ。それで相棒と「浅草キッド」というコンビを結成して、漫才を始めたんだよ。最初は客なんか全然いないから、それはそれは貧乏したけど、欽ちゃんとか素晴らしい先輩のもとで修業できて、それは良かったと思うね。
古畑 そう聞くと、私は本当に恵まれているんだなあと思います。
玉袋 女性ばっかりの現場で、大変なこともあるんじゃないの?
古畑 よくそう言われるんですけど、本当にみんな仲が良いんですよ。当時はファンの子が自由に意見を書き込める掲示板サイトがあって。そこに「どっちがかわいい」みたいなことを書かれるのだけが、ちょっとキツかったというぐらいです。
二人が経験してきた苦労とは……
玉袋さんが必ず頼む一品。やりいか煮 950円
そこへ運ばれてきたのが、これまた玉袋さんが必ず頼むというイカのやわらか煮。「きたきた!食べたかったんだよ」と、早速ほおばる玉袋さん。
玉袋 やわらけー!
古畑 ホント! めちゃくちゃ柔らかくて、味が染みてて美味しい!
玉袋 歯がなくても、歯茎だけでイケそうだろ?(笑)
古畑 あはは! 分かります!
身も心も温まる美味しい一品に、ビールも進む。すると話は、さらに深いところへと盛り上がっていく。
古畑 40年お仕事していて、やめたくなったことはなかったんですか?
玉袋 ないな。やっぱり漫才を頑張りたかったからね。舞台に立っているときだけは、兄貴たちも入ってこられない。だから、そこで勝負するんだ!って気持ちは強かったよね。
古畑 かっこいい!
玉袋 だけど永遠に卒業しない上級生もいっぱいいたからさ。普通にしていたら、頭一つ抜け出すことはできないと思ってさ。他の人はやらないことをやろうと戦略を練ったんだよ。で、何をしたかというと、師匠とかプロデューサーさんとかに、中元と歳暮を必ず贈ったの。まだ給料が月10万円ぐらいしかない頃にね。
古畑 それって、反応はどうだったんですか?
玉袋 プロデューサーさんにとってはさ、無名の俺らなんて透明人間みたいなもんだから。でも贈り続けていると、名前を覚えてもらえるようになって、だんだんと仕事をいただくようになったわけだよ。だって俺だって、ずーっと中元、歳暮を贈ってくるやつがいたら、覚えるよね。そういう戦略。入り口はどうあれ、それで仕事で結果を出せば、誰も何も言わなくなるもんだよ。
古畑 私は、マネージャーさんと一緒に資料作りをしたくらいだなあ。
玉袋 今、星夏ちゃんが「マネージャーさん」と言ったのを聞いて安心したよ。「ジャーマネ」って言わなくて。この業界ってやっぱり人とのつながりがすべてみたいなところがあるから、そういうリスペクトって大事なんだよな。
古畑 ジャーマネって、いつの時代ですか!でも親にはずっと、「絶対に天狗になるな」って言われています。いつでも鼻をへし折るからって。愛だな~って思いますね。
玉袋 実るほど頭を垂れる稲穂かな、だよな!
大先輩に仕事の悩みを相談!
鮮度バツグンでぷりぷりの白子。鱈白子ポン酢 1300円
熱く語り合う二人の前に、さらにもう一品、白子のポン酢が運ばれてくる。ぷりぷりと輝いていて、一目で新鮮さが伝わってくる!
玉袋 やっぱ白子のシーズンだからな。刺し盛りもそうだけど、ここは旬の魚介がいろいろ食べられるところがいいんだよ。
古畑 いただきまーす。すごい! ミルキー!!
玉袋 うん、今日のはまた特別旨い。デカい! ミルキィー!♡
赤星の大瓶も2本目に入り、白子をつまみながら二人の仕事観話はさらに続く。
玉袋 でもさ、女性だと仕事とか結婚とか出産とか、いろいろ考えるんじゃない?
古畑 働くのは楽しいし、私は人とつながることが好きだから、仕事は絶対に続けたいと思っています。
玉袋 新しいジャンルに挑戦したいとか、ないの?
古畑 むしろ同じ撮影でも、日々挑戦という感じだから楽しい、というのもありますね。
玉袋 結局、目の前のことをしっかりやらないと、仕事なんて続いていかないんだよな。ただ50代になったぐらいから、気づけば違うジャンルの仕事が自然と寄り添ってくるようになったんだよ。
古畑 お酒の仕事もそうですか?
玉袋 そうそう。「アイツ、飲んでるだけじゃないか」とか言われるけど、これだけ飲む仕事ができるヤツって、そうそういるわけじゃないからね。俺に向いてたから、仕事のほうが自然と寄ってきたんだと思うのよ。
海老の香りがたまらない! 白海老唐揚 800円
さらに、玉袋さんの大好きな一品という白海老唐揚も到着。透き通るような白エビが美しい!
古畑 美味しそー! レモンはどうされますか?
玉袋 人によってこだわりがあるもんな。俺は、一口目はかけない。素材の味を楽しむんだ。
古畑 サイコー♡ サクサク。
玉袋 だろ? ますますビールも進むってもんだよ。
古畑 さっきのお話の続きなんですけど、言霊みたいなのってありますか? 「人とのつながりを大事にしています」って言ってたら、自然とそういうお仕事が来るようになるとか。
玉袋 人間関係の距離は、適度にクールじゃないとダメなところもあるからね。ついつい近づきすぎたり、「この人に寄り添ってあげたい」とかなるけど、そこは絶妙な距離感でいないといけない。
古畑 たしかに……。私、自分の思いを友達に乗っけすぎちゃうときがあります。やっぱり心地いいから。でもバランス取らないと、ですよね。
玉袋 あと、自分に鈴をつけてくれる人も大事だよ。
古畑 鈴?
玉袋 調子に乗ったとき、止めてくれるってこと。年齢を重ねると、そういう人って減っていくからね。貴重だよ。
古畑 勉強になります!
思い出のアワビステーキに舌鼓
バターと肝ソースがたまらないぜいたく。アワビステーキ 4800円
そこに運ばれてきたのは、何とアワビを丸々一個ステーキした豪華な一品。思わず古畑さんのテンションも爆上がり。
玉袋 アワビステーキも毎回頼んでるね。肝が和えられているのが旨いんだよ。
古畑 柔らかい! 肝ソースが美味しい! バターの香りも良すぎて、100%美味しい!!
玉袋 お値段もちょっと頑張らなきゃな一品だから、最初はなかなか頼めなかったんだよ。でもあるとき店のマネージャーさんがサービスで出してくれてさ。以来、虜だよ。そうしたら仕事もだんだん軌道に乗っていってさ、ちゃんと自分の力で頼めるようになった。やっぱり赤星は、勝ち星だね。
シンプルながら、味しみしみ! 豆腐煮 500円
締めは、玉袋さんが「ママの味」と愛する豆腐煮。刻みネギが乗っただけのシンプルな見た目だが、魚のあらと一緒に煮込まれているので、驚くほど美味しいのだという。
古畑 だしが超しみしみ!
玉袋 崩れそうなくらいしみ込んでんだよ。うんまい! このちょっと甘い感じがいいんだよな。この豆腐の角になら、頭ぶつけて死んじゃってもいいよ。
古畑 分かります!! 柔らかすぎて無理だけど(笑)
二人の2026年の目標とは?
玉袋 星夏ちゃんはさ、ないの? こういう行きつけの店。
古畑 地元の焼き肉屋さんかなあ。私、祖父母もみんな近くに住んでいるので、よく一緒に行ってたんですけど、初めて私がごちそうしたとき、おじいちゃんは泣いていました。
玉袋 煙が目にしみた、って言ってただろ?
古畑 んー、普通に「美味しい」って言ってたかな(笑)。でもこれから、こういう行きつけのお店を増やしていきたいです。
玉袋 ここで赤星を飲むのは、俺にとって最高のご褒美だからね。
お酒が二人の身も心もすっかり解きほぐしたよう。静かにおつまみをいただきながら、赤星をたしなむ二人は、もはや年齢の差を感じさせないリラックスぶり。
玉袋 星夏ちゃんも、若いけど芸歴はけっこう長いよな。今後の夢は何かあるの?
古畑 モデルのお仕事って、意外とファンの方とつながれる機会が少ないんですよ。もっと交流イベントをやってほしい、と言ってくださる方も多いので、増やしていきたいなと思っています。やっぱり直接会えると、「この人たちが応援してくれているんだ!」とモチベーションにつながりますから、大事にしていきたいですよね。
玉袋 どんどんやったらいいよ。俺ももともと「スナック玉ちゃん」てイベントをやっていて。それがきっかけとなって、実際に自分のスナックを持つことになったんだよ。
古畑 そうだったんですね! でも誰も来てくれなかったら、とか考えちゃって……。玉さんは、イベントでどんなことやっているんですか?
玉袋 トークと、あとはお客さんに飲ませてカラオケとかだね。ぶっちゃけイベントって実入りは良くないけど、それ以上に得られるものがあるから。ぜひ星夏ちゃんにも、どんどんやってもらいたいね!
古畑 来年の目標は、それに決めました!
玉袋 俺は来年、40周年だから、また普段とは違うことを何かやりたいね。赤星で乾杯しながら。
古畑 そのときはぜひ私も呼んでください!!
玉袋 お! 売り込み上手いじゃない!
古畑 はい、中学生のときからこの仕事やってますので!(笑)
Photos:Ayako Nakamura
Hair&make-up:Harumi Kanbe
Styling:Ayumi Kawahara
Interview&text:Naoko Yakamoto
【古畑さん着用アイテム】
トップス ¥15,000/KUME パンツ ¥44,000/ LEINWANDE ピアス ¥59,400、右手リング ¥46,200、左手リング ¥30,800/ ブランイリス





と赤星
と赤星


