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100軒マラソン File No.57

新橋に「知らないとマジで損する」立ち飲みがある

「立ち呑み処 三文の徳」

公開日:

今回取材に訪れたお店

立ち呑み処 三文の徳

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すっかりご無沙汰をしました、赤星100軒マラソン、前回、静岡県清水市の名店にお邪魔をしてから、すでに半年以上の月日が経ちました。新型コロナウイルス、恐るべしです。まさに飲食店受難の時代、私のような夜な夜な飲み歩きたい酔っ払いにとっても実に厳しい時節です。

気の合った人と一緒に、日々のあれこれを話題にしながら酒を飲む。たったそれだけのことが、ありがたい。そのことに改めて気づく今日この頃、久しぶりでサッポロラガービール、愛称“赤星”のある店を訪ねるのは無類のヨロコビでありました。

新橋に「知らないとマジで損する」立ち飲みがある

午後4時の新橋駅で、私はなんだか妙に、ウキウキとした気分になっていました。この日訪ねたのは、新橋駅前ビル1号館。地下鉄で新橋まで出たので、地下の乗り換え通路からビルの地下1階に入りました。

ここには、何軒もの飲み屋さんがある。有名すぎるスポットであり、私にも少しは知った店があるわけですが、本日の目的地「立ち呑み処 三文の徳」は、このビルの1階にあるという。

新橋に「知らないとマジで損する」立ち飲みがある

■夕方4時過ぎのビールが無性にうまい

階段を上がり、ビル内部の通路を進むと、ありました。間口の広くない、見るからに立ち飲みの店だ。

さっそく店内に入ると、カウンターが一本、奥へ向かって伸びていて、その先は突き当りかと思いきや、さにあらず。明るいので、窓があるのかと近づいてみると、何とこちらも、出入り口。外は新橋駅汐留口の前なのだ。

新橋に「知らないとマジで損する」立ち飲みがある

ああ、ここかあ。こんなところに、明るいうちから飲める店があるとは知らなかった……。

しかし、それもそのはずで、さっそくビールを頼みながら大将に聞いたところ、こちらの場所での営業は4年ほどということだ。大将の地元である宮崎のお店は26年になるという。

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カウンターに立ち、今日のおすすめの品書きに目をやる。大間の生マグロ、天然カンパチ、岩ガキにホヤなどうまそうな魚介のほかに、宮崎牛、黒豚など、肉にも自信がありそうだ。

どれも魅力的で即決できない。ひとまず、ネギトロをもらって作戦を練ろう。それから、コップに2杯目のビールをぐいっとやる。日中の気温が高くなった日だったから、夕方4時過ぎのビールがいつにも増して、うまい。

新橋に「知らないとマジで損する」立ち飲みがある

現在は概ね午後3時開店とのことだが、コロナ騒動の前は午前11時から店を開けていたという。昼から飲まれるお客さんがいらっしゃるわけですね。

今は、コロナの影響で、客足は従来の6割ほどということですが、私たち取材隊が到着すると間もなく次のお客さんも見えるなど、人気のほどがうかがえます。

新橋に「知らないとマジで損する」立ち飲みがある

ネギトロを口に運んではビールをひと口。また運んではビールをひと口。そうこうしているうちに、今度は肉への関心がわいてくる。

「たぶん、都内でいちばん安く宮崎牛を出しているのがウチです。ウチより安く出すところは、まずないでしょう。だいたい100gで5000円くらい取りますからね、どこも。それを、ウチでは切り落としは200gを2000円でやっている。100g1000円ですね」

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宮崎牛、喰いたい……。

「あと、ステーキも宮崎牛ですが、ウチはサーロインを塊で仕入れているので、これも200g2000円で出しています。そんなところ、絶対にないと思いますよ」

切り落としは、焼きしゃぶ用。ささっと焼いてポン酢をつけて食べるという。そう聞いただけで、すぐにでも注文したいところだが、大将が、切り落とし肉の次に手に取ったのは、タンなのです。

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牛の舌がそのままの形で目の前に現れた。宮崎で処理してから2日後にはこの店に入るという。宮崎牛のタンの丸のままの姿は、他の店ではまず、お見掛けできない代物なのだという。

「これは少し小さいですね。舌先はタンシチューとかにする部分ですけど、この根元のほう、ここがうまいんですよ。刺しと焼きがあります」

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刺しにいたしました。牛も豚も、タンは好物。それも刺しで喰えるとなれば、迷うことはない。

「宮崎牛は和牛のオリンピックで3大会連続で日本一に輝いたブランドです。アカデミー賞の授賞式後のパーティーでも3年連続で宮崎牛が食材として採用されたそうです。脂が多すぎず、さっぱりとしていて、お年寄りでもステーキをぺろりと平らげますよ」

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うーん。ますますもって、うまそうなお話。聞きながら、図らずも目が潤んでくる。

「女性のひとり客が、けっこういらっしゃるんですよ。その方たちが、肉をよく召し上がりますね」

女性ひとり、ふらりと現れてカウンターで上等な牛肉をつまみに、酒を飲む。日本も変わりましたなあ。いやいや、大変に結構なことです。

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■贅沢が過ぎると思いつつ……

大将が手にした牛タンは、新規の酒じゃないけれど、言ってみれば口開けのタンだ。その、一本の貴重な牛タンに、今、まさに最初の包丁が入るのです。

ご覧ください。このひと皿を。時刻はまだ4時半、私はネギトロの小鉢で中瓶ビール1本をちょうど飲み終えたところ。飲み始めから、まだ30分も経っていないのですが、思わず、うわぁ、と、声とも吐息ともとれないものを吐き出した。

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きれいな牛タン。箸でつまみ、口へ運ぶと、するりと溶けて、ほのかにごま油の風味を残す。あれえ、これがタン刺しかねえ……と思うくらい、やさしい、繊細な歯ごたえで、臭みがまるでなく、歯ごたえはほどよく、噛めばとろけるようなうまさだ。そう、脂の質も量も、文句なしという感覚なのだ。

「うまいですねえ」

気の抜けたコメントしか出ないが、本当にうまいと思ったときは、人間、そんなもんですよ。うまさが、能書きを受け付けない。そんな感じがします。

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これはビールはもちろんだが、焼酎やグラッパ、ウォッカなどのスピリッツとの相性も抜群と見た。

こうなると、先刻チラリと見ました牛の切り落としの焼きしゃぶを、素通りするわけにはいかない。いやいやその前に、牛、牛と攻め立てる前に、もう1品、気になっていた魚を頼もう。

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贅沢が過ぎると思いつつ、やはり避けて通れないのが、大間のマグロでした。冷凍なんかじゃありません、生ですよ。お隣の銀座で食べようものならいったい幾らとられるのか分かりませんが、この日、こちらではたったの900円。迷ったら食べておいて損はない。

案の定、これがまた、絶の品でして、漬物や梅干しでいくらでも飲めるタイプの私としては珍しいことなのですが、肉うまし、マグロうまし、という稀有なる夕刻に突入しているのであります。

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ウマい、ヤバいと騒いでいるその脇で、カウンター上に小さなカセットコンロが置かれ、鉄鍋が熱せられる。小鉢には、粗目のみじん切りにしたタマネギの浮くポン酢。いざ、焼きしゃぶの開始である。

肉の脂で焼くから鍋に油を敷く必要はない。さっと焼いて、まだ少し赤いくらいのうにち、ポン酢にくぐらせる。そして私は、小鉢に浮いているタマネギを肉の上に配し、大口を開けて、するりといただくのです。

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ああ、うまい。たいへん、よろしいですなあ。

飲み込んでしまうのがもったいないくらいの、うまさ、というものがあるんですな。薄切りの宮崎牛の品の良さこそ、この肉の真骨頂かと思いますが、それが、焼きしゃぶという食べ方に、まことによく合うのでしょう。

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一緒に取材をしている編集Hさん、写真家Sさんの目を気にして、なんとか冷静さを保っていた私ですが、実はこのとき、皿に残ったすべて肉をわがものとしてあっという間に平らげたい欲求に駆られていたのです。

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もっと食べたいーー。そんな想いが顔にでたのでしょうか。大将が「どうです、うまいでしょう。こういうシンプルな食べ方が一番です。せっかくだから黒豚も食べてみますか?」と勧めてくれました。

宮崎の黒豚。そのスライス肉を、この牛肉と同じように、焼きしゃぶでという。いいじゃないですか、うまそうじゃないですか。

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■極上の立ち寄り酒

新橋駅前ビル1階の小さな立ち飲み屋のカウンターが、俄然、野趣にあふれてくる。

豚肉、喰いたい……。店のテレビに映るホラン千秋さんを眺めながら、猛烈な欲求の高まりを感じていると、来ました、来ました、きれいな脂の入った黒豚スライスです。

新橋に「知らないとマジで損する」立ち飲みがある

酒を、薩摩焼酎のロックに切り替えてひと口すすり、やおら、豚肉を1枚、鉄板にのせる。たちまちにして脂が溶け、肉の赤い部分に火が通る。焼きすぎないように。注意はそれだけ。よし、と気合いを入れつつ小鉢に受け取り、タマネギ入り絶妙ポン酢にくぐらせて口へと運ぶ。

「ふ、ふぁふぁふぁいふぁあ、ふぁ」

新橋に「知らないとマジで損する」立ち飲みがある

確かHさんとSさんにも、「うまいから喰え」と言ったつもりです。

口の中でとろける豚の脂の甘さ、そのありがたみは、牛タンや切り落としに勝るとも劣らない。宮崎といえば地鶏と、条件反射のように想起する私だったけれど、今日が変わり目、宮崎記念日だ。

新橋に「知らないとマジで損する」立ち飲みがある

となり合わせた常連の先輩方と記念に一枚

いい店、見つけました!

タン刺しや焼きしゃぶをつまみにほんの1時間。極上の立ち寄り酒のお相手には、昔ながらの、ちょっと古風な瓶ビールがよく似合っていました。

新橋に「知らないとマジで損する」立ち飲みがある

取材・文:大竹 聡
撮影:須貝智行

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最後に、こちらのお店でも実施されている「赤星スクラッチキャンペーン」のお知らせですよ。10月30日(金)まで、お店で赤星を飲むと初代ラベルデザインの大瓶赤星などが当たるそうです。これは飲むしかない。https://www.akaboshi-tanteidan.com/ennnichi/

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