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団長が行く

団長が行く File No.89

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

「中華料理 翔福」

公開日:

今回取材に訪れたお店

中華料理 翔福

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あのお店はなぜ時代を超えて愛されるの? お客さんがみんな笑顔で出てくるのはどうして? 赤星探偵団の7代目団長・平井理央さんが、名店の暖簾をくぐり、左党たちを惹きつけてやまない「秘密」を探ります――。

五反田のとあるビルにて

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

JR山手線・五反田駅は、1日の平均乗車人員が約11万人。30ある山手線の駅のうち27番目あたりに位置する。都営浅草線と東急池上線も通る便利な駅だが、乗り換え以外でめったに降りることはないという人も多い。平井理央団長も、そんなひとりだ。

JR五反田駅東口を出てすぐの、とあるビルの2階に、本日のお目当て「中華料理 翔福」はある。扉を開けると、招・財・進・宝の4つの漢字をあしらった壁画が目に飛び込んでくる。「財産を招き、宝が入って来ますように」と、縁起を担いで組み合わせた文字だ。

さ、めでたい言葉にあやかって、今宵も一杯やりましょう。
飲むのはもちろん赤星、サッポロラガービールだ。

ーーいただきます!

 

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

平井: ぷは〜〜〜〜

わたし今、「ぷは〜〜」と言っちゃいましたね(笑)
しょうがない。だって美味しすぎるんですもん。

 

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

赤星のお供はまず、客のほとんどが注文するという「今夜の酒肴六種盛り」から。店主の板垣翔さんが直々に持ってきてくれた。

平井: わあ、なんて素敵な盛り合わせなんでしょう!
それぞれ小鉢に盛り付けられて、見るからに精鋭揃いです。海老がある! お肉も! お魚も!

 

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

板垣さんが今夜の内容を説明してくれる。
「真ん中が赤海老の紹興酒漬け、その右から時計回りにサーモンの青山椒ソース、鶏チャーシューのネギソース、四川風牛しぐれ、新じゃがとアヒルの卵黄のガーリックバター炒め、豚タンの紹興酒漬けです。赤海老と豚タンはそれぞれ仕立ての異なる紹興酒漬けとなっています」

パチパチパチパチ

平井: では、赤海老からいきましょう……甘い。ねっとりと海老の甘みが広がって、紹興酒の香りもふわりと立って。美味しいなあ。

そして豚タン……あ、なめらか。こちらの紹興酒はほんのりと風味を効かせていて、豚タンの力強い旨味を陰で支えている感じ。
そして、すかさず赤星……は〜〜合うなあ。そりゃあ、合うよなあ。

 

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

平井: そしてサーモン……この青山椒のソース、辛くないんですね。なんて爽やかな風味なんでしょう。脂の乗ったサーモンの旨みをぐっと引き立ててくれます。

先日、ちょうど生の実山椒を買って下処理したところ。実山椒って、一粒一粒、茎を取るのが本当に大変なんですよ。こんなに丁寧な仕事には頭が下がります。

ここでも赤星をいただきまして……山椒と赤星、さいっこうの組み合わせですね!

のっけから赤星が止まらなくなってきた。
1品をつついてはグビグビッ。またつついてはグビグビッ。
実際の平井団長はこれを何ターンも繰り返しているが、他のレポートを割愛させていただき、先を急ぐ。

 

わたし史上最高のイカ

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

清涼感のある心地よい香りが漂ってきた。現れたのは、当店の名物「アオリイカの青しそ炒め」だ。細かな切り込みが入れられて見るからにプリプリとしたアオリイカ、そしてきのこたちが、青しそのソースをたっぷりまとっている。絶対うまいヤツ、だ。

さあ、団長、どうなんですか?

 

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

一口ほおばった団長は、しばし絶句し、ため息を漏らすように言った。

平井: おいしぃ。この食感、すごい、すご過ぎる。プリっとしているのに、めちゃくちゃやわらかい。プリッと、フワッと。プリフワ。イカの甘みが青しその清涼感と一緒に口いっぱいに広がります。

なんでこんなに美味しいの? 火の入れ方、包丁の入れ方、ソースの絶妙な加減。赤星との相性も抜群だし、もう言うことなしです!

 

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

イカを噛み締めては唸り、赤星をゴクリとやってはため息を漏らす団長は、確信したように言った。

平井: コレ、私がこれまでの人生で食べてきたイカの中でいちばん美味しいです!

平井史上最強のイカに出会い、満面の笑みを浮かべているが、今夜はまだ選りすぐりの酒肴たちがまだ控えておりますよ。

 

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

次に登場したのは、板垣さんにお任せした一皿。なにやら季節限定の天ぷらとのこと。上にかかっているのは、スパイシーマヨネーズだ。ちょっと恐る恐る味わってみると……

平井: ん? あれ? あ、トウモロコシだ!
上品な甘みと香り。トウモロコシはかき揚げでいただいたことがあるけれど、こういう天ぷらは初めて。
中国料理らしいしっかりした衣にピリ辛のマヨネーズソースが合って、茹でたり焼いたりしたいつものトウモロコシとはまった違った一面が引き出されています。

 

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

平井: 見て見て、トウモロコシの芯の柔らかい部分も少し一緒に揚げているの。独特のおもしろい食感を生んで、味わい深くしています。

さすがはプロ。ぜーんぶ美味しいし、お酒のアテに打ってつけのお味になっているところが、たまりません。板垣さん、おみそれいたしました。

 

「本格中華×赤星」の悦楽

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

当店の前身は「顧の店 刀削麺」という店だった。刀削麺とは、生地の塊から包丁で麺を削り出して作る、中国山西省発祥の麺料理だ。板垣さんのお父さんが経営する店のひとつで、板垣さんのお母さんが切り盛りしていた。

板垣さんは一度IT業界へ進んだが、料理の道への興味がふくらみ、「シェラトン都ホテル東京」のレストラン「中国料理 四川」の門を叩いた。本格的な四川料理を習得し、さらに本場の中国・四川省に渡って研鑽を重ねた。2015年にお母さんに病気が見つかり、板垣さんはお母さんをサポートすべく店に入った。店を支えながら、1年をかけて刀削麺の自主練を行い、腕を磨いた。

残念ながらその後にお母さんは他界し、店は板垣さんが引き継いだ。さて、心機一転という時に予想外の事態に襲われた。新型コロナだ。

平井: 飲食店のみなさんは本当に大変な思いをされましたよね。時短要請に応じながら、営業を続けられたんですね。その大変なコロナ禍で、ご結婚され、お子さんも生まれたと……激動の時ですね。

「もうなるようにしかならないと開き直っていましたね。毎日不安でしたが、はからずも店を見つめ直す良い機会になりました」と板垣さんは振り返る。

 

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

今度は、ニンニクと唐辛子だろう、食欲をビシバシかき立てる香りが漂ってきた。香りの正体は四川料理の代表的な品とされる「辣子鶏(ラーズーチー)」。揚げた鶏肉を大量の唐辛子や花椒(ホアジャオ)と一緒に強火で一気に炒める豪快な料理だ。当店では、肉が締まって旨みが強い手羽中を使っている。

 

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

平井: これもたまりません!
見た目は辛そうですが、唐辛子の辛味はほどよく、花椒のしびれがいいアクセントになっています。

(赤星をゴクゴクッとやって)言うまでもなく、赤星との相性はカンペキです!(笑)

辣子鶏に夢中になりながらも、板垣さんの話に耳を傾ける。
「コロナが明けるくらいのタイミングで、自分の名前から一字を取った“翔福”という屋号でリニューアルしました。前の店は食事が主体でしたが、今度はよりお酒を楽しんでいただけるお店を目指して、酒肴にぴったりの料理をラインナップしています」

平井: そうだと思いました。
板垣さん、お酒、お好きですよね? 絶対。

「はい(笑) 特にビールが好きでして、自分が飲むときは昔から決まって赤星ですね。赤星は味がしっかりしているから食中酒としていろんな料理と合わせることができるし、それでいて飲みやすく、飽きがこない。なんて言うんでしょうか、僕にとって“しっくりくる”ビールなんです。五反田の飲食店の仲間には、赤星ファンがすごく多いんですよ」

料理単体でももちろん美味しいけれど、赤星と一緒だと美味しさのバロメーターは鰻登り。なるほど、料理を作る当人が生粋の赤星ファンであることに、そのヒミツがあった訳だ。

 

受け継がれる刀削麺

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

本格的な中国料理と一緒に赤星を存分に味わえる中華酒場との出会いに、団長のテンション上がりっぱなしだが、いよいよ〆である。

せっかくなので、先代から受け継がれる刀削麺でフィナーレを迎えることにする。選んだのは、これまた四川省発祥の担々麺に刀削麺を掛け合わせた担々刀削麺だ。辛味としびれを効かせた麻油と胡麻ペーストで作るスープに、甘辛く炒めた挽肉、シャキシャキのモヤシがたっぷり。下には板垣さんが削り出した刀削麺が隠れている。

 

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

平井: んーーー美味しい! 刀削麺がトゥルン&モチッの楽しい食感。スープの旨味が刀削麺の表面に染み込んでいるから、口の中で美味しさがどんどん広がっていきます。細麺をスープと一緒にすすって味わう普通の担々麺もいいけれど、小麦とスープの一体感をじっくり味わえる担々刀削麺、クセになりそう。

そして、またもやここで赤星を飲んでみますと……マリアージュ、恐れ入りました(笑)

 

かくして、刀削麺もおつまみとなって大活躍を見せ、極上の中華酒場での夜は大団円となりましたとさ。

五反田「中華料理 翔福」本格中華の店主が、もしも赤星ファンだったなら?

ーーごちそうさまでした!

(2026年7月22日取材)

撮影:八田政玄
構成:渡辺 高
ヘア&メイク:須川愛代
スタイリング:山﨑沙央里

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