昭和なアニキが語る定番服と赤星の名店「アニ散歩」
工藤軒

<20本目>

ブラックスーツと「工藤軒」の牛2.5.3

ブラックスーツは誰もが1着は必ず持っているはず。とはいえ意外と着る機会が少ないもの。だからこそ、たまにはゆるく着崩してみる。例えばハードボイルドに……。

洗いざらしのボタンダウンシャツは、襟ボタンと第1ボタンをはずし、ゆるめに黒のニットタイを締めてみる。足元はサイドゴアブーツに、ジャケットのボタンは開けたままで。そう、ハードボイルドに!

俺が憧れるハードボイルドの世界は、探偵物語の松田優作だ。そのまま真似するとコスプレになるので、オマージュとしてブラックスーツを自分なりに着てみるのがキモだ。

探偵物語の役名は工藤俊作。ということで、工藤ちゃん気分で向かったのは新橋駅前ビル2号館。

このビルの地下飲食街は地下鉄から直結している立地でありながら、多くの人が通り過ぎていくディープスポット。

今どきの駅地下からドアの向こうに一歩入ると完全に昭和なのだ。

ところ狭しと飲み屋が続くラビリンスな通路を進む。

俺が目指すのは、怪しいオーラを放つオレンジの暖簾だ。

暖簾の横に吊るされた牛253が目に入りニヤけちまう。

初めて来たときは、店内が見えないこの暖簾をくぐるのにさすがに躊躇した。

一歩入ると立飲みで5人も入ればパンパンな超密着空間がそこにある。ディープだ……。

壁には俺がリスペクトする探偵物語の松田優作アニキ。店主が工藤慎也さんなので「工藤軒」ということ。しかも工藤さんは松田優作好きなのだ。俺は愛を込めて店主を工藤ちゃんと呼んでいる。

いつもの「赤星」を注ぐ。これぞハードボイルド1人立飲み!!

さて、いつもの絶品を頼むとするか。センマイと牛2.5.3は、はずせない。

冷8.2.5も気になるが、牛スタミナ串もマストな1本。

独自の味付けでサッパリコリコリなセンマイは、イタリアのトリッパとガツ刺しのようで強烈に美味い。しかし新橋の立飲みで、このレベルの高さとは……おそるべし工藤ちゃん。

牛スタミナ串は、肉感たっぷりの頬肉を自家製ニンニク醤油に付け込んで焼き上げたもの。

BGMは、すでに懐かしいiPodで流れるSHOGUNの探偵物語のテーマ「BAD CITY」~ゴキゲンだなあ~

強烈に美味すぎる!気絶串すぎる!なんで立飲みなのに、こんなに美味い牛肉がでてくるのか?

牛2.5.3最高!!えっ「やっぱり牛煮込みか」って……うすうす気づかれているとは思っていた。しかしここの煮込みは煮込みの次元を超えているのだ。味噌は使用せず、工藤ちゃんがモツに負けないよう独自に配合したスパイスで煮込んだもの。さらにパクチーのせでオリジナル感がハンパない。

ヤバすぎる強烈な美味さ。マジで美味すぎる2.5.3気絶……スパイシー失神!!カレー風煮込みと表現すれば伝わるだろうか。いやいやそんな単純なものではない工藤ちゃんスパイシーマジックとしか言いようがない。

「赤星」の他には東京の下町でお馴染みのバイス原液ペットボトルを自分で注ぎ飲むこともできる。

この飲み方は工藤ちゃんが友人でミュージシャンのザ・コレクターズの古市コータローさんから教わったとのこと。いったい工藤ちゃんは何者なのか?謎が深まる。

牛2.5.3が美味すぎて酒がすすむ。ごはんを少し入れて食べても美味いに違いない。そんな気分の時は絶品カレーもあるのでおすすめ。

居心地が良くて酒が進む中、ずっとコーヒー酎が気になっていた。

コーヒーの焼酎割りと思いきや、なんと工藤ちゃんセレクトのコーヒー豆をキンミヤに漬け込んだ酒なのだ。

そういえば、探偵物語の工藤ちゃんもコーヒーをブレンドしていた。まるで水出しコーヒーのように、すいすい飲めちゃうデンジャー酒なので泥酔注意。

しかしここの牛肉はなんでこんなに美味すぎるのか。ロックTを着たロン毛の工藤ちゃんは、なんと五反田の牛肉の名店「日南」出身なのだ。鮮度の高い確かな食材とハイレベルな仕込みに納得。独自のスパイスでオリジナルに進化させているところも素晴らしい。

サラリーマンの多い昭和な新橋駅前ビルの立飲みで、工藤ちゃんや素敵な常連客と絶品スパイス牛肉をつまみながら酒を飲み会話を楽しむ。

やはり人生にもこんなスパイシーな刺激が必要というものだ。

アタイアでオーダーしたブラックスーツ。クラシックな3つボタンで、よりフォーマルにこだわりノーベントにしてみた。モードではないブラックスーツは王道的に着こなすことはもちろん、ゆるく着崩すこともできる。

Text:Eiji Katano
Photo:Kou Maizawa

店舗情報

工藤軒

[住所] 東京都港区新橋2-21-1 新橋駅前ビル 2号館 地下1階

[TEL] 掲載不可

[URL] https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13202535/

[営業時間]

17:00~23:00

定休日 日・祝

【プロフィール】

片野英児(かたのえいじ)

1968年生まれ。昭和とメンズ服飾を愛してやまない48歳。小誌編集長の干場(ほしば)がアニキと呼んだことから、いつしかアダ名がアニキに。趣味は、スナックで昭和カラオケ。呑みすぎると、歌いながら、なぜか干場と泣き合う熱き男。好きな場所は軍艦島。

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