世代間ギャップも一瞬で埋めてしまう、赤星にはそんな不思議な力がある。では昭和オヤジとギャルがグラスを重ね合わせたら、どんな話題で盛り上がるのか? 互いの世代の文化や考え方、お酒の楽しみ方…お酒をこよなく愛する玉袋筋太郎さんと、トレンドに敏感な『ViVi』ゆかりのタレントが、世代のギャップを超えて酒場で交流します。
赤坂見附駅からほど近く。ビルが立ち並ぶ赤坂の街に、ふっと肩の力を抜いて飲める一軒がある。今回訪れたのは、豚や鶏、新鮮なもつを使った料理と、種類豊富な酒場メニューが揃う『とらばこ』。
玉袋さんが足繁く通う居酒屋のひとつだという。
串揚げや小袋、枝豆といった気取らないつまみを囲みながら、一杯、もう一杯と飲み進めたくなる居酒屋だ。もちろん、テーブルには赤星。
前回、富ヶ谷ですっかり打ち解けた、酒場文化を知り尽くす玉袋筋太郎さんと『午前0時のプリンセス』として活動する聖秋流さん。2度目の対談ともなれば、最初の乾杯からすでに打ち上げムード!? 夏のビールから、お金の使い方、令和に消えつつあるお駄賃文化まで――。赤星を片手に、ギャルとオヤジの赤坂ナイトがスタート!
玉袋 乾杯〜! さて、もう今日の仕事終わりだ。打ち上げみたいなありがたい仕事だ(笑)。
聖秋流 乾杯〜! 私も今日、めっちゃ楽しみにしてました! 暑い日だったからこの一杯を待ち焦がれていました。
玉袋 やっぱり夏は赤星の一杯が体に染み渡るよな。夏の思い出と言ったら、俺は結局ビールなんだよね。昔は炎天下で朝から12時間くらいロケすることもあってさ。
聖秋流 じゅ、12時間ロケ!? ひょええ、考えるだけで無理です。
玉袋 あの頃は若かったからな。
聖秋流 私、今20代ですけどキツいですよ、それ(笑)。
玉袋 ロケの途中からもう頭の中は、「終わったらビール」しかないわけ。それがあるから頑張れるんだよ。それで仕事終わって飲む一杯が、めちゃくちゃうめえの。
聖秋流 それはもう、絶対。その一杯って格別ですよね。私、暑いのが本当に苦手なんです。だからこそ、今年はちゃんと夏を楽しもう!と、友達とビアガーデンの予定を立てました。
玉袋 いいねえ。昔のビアガーデンなんて、つまみがカッサカサだったりしたからな(笑)。今はレベル上がってるよ。
聖秋流 外で飲むビールって格別じゃないですか。夏が嫌いだからこそ、ビアガーデンとか海の家とか、夏じゃないとできないことをちゃんとやって、好きになりたいんです。
玉袋 海の家もいいよな。俺が子どもの頃、家族で海水浴に行ったら、親父は昼から海の家でビール。ちょっと砂が入ってジャリジャリするおでん食べたりしてたな。50年以上経っても覚えてるいい思い出だよ。そんな景色の真ん中に冷たいビールがあったんだよな。
茹でたて枝豆と赤星。夏は結局、このセット!
枝豆450円
まず運ばれてきたのは、茹でたての枝豆。鮮やかな緑色に、粒の大きな塩がキラリ。さやから飛び出す熱々の豆を頬張れば、自然と手は冷えた赤星へと伸びる。
玉袋 これだよ。昔のビアガーデンのパサパサ枝豆とは違う! 茹でたてがいいじゃん。
聖秋流 美味しい! 塩加減もちょうどいいですね。
玉袋 枝豆って自分で茹でると、意外と塩加減が難しいんだよ。ちょっとかけすぎかな?くらいがいい。
聖秋流 分かる! 塩多めが美味しいです。
玉袋 夏はやっぱり、ビールと枝豆だよな。俺のおすすめの食べ方があって。コンビニで冷凍枝豆売ってるだろ? 夏はチンしないで、外に置いとくの。そうすると自然解凍されて、ちょうどよくなる。
聖秋流 自然解凍だ。確かに程よく冷たくて美味しそう。
玉袋 それを食いながらベランダでビールよ。この前も言ったけど、俺が夏に必ずやることがあって。ベランダに子ども用のプールを膨らませて、ビールはクーラーボックスでキンキンに冷やしてさ。暑くなったら足をチャポチャポ入れるの。東京サマーランドってあるだろ? 玉袋だから“タマーランド”って呼んでるわけ。
聖秋流 出た! タマーランド(笑)
玉袋 流しそうめんをしたり、仲間を呼んで飲んだり。4歳の孫にも遊びに来てもらおうかなって。
聖秋流 私も行きたいです!
玉袋 入場料2万5000円な。
聖秋流 高っ!(笑)
玉袋 高級リゾートもいいけど、冷えた赤星と小さなプールがあれば、ベランダだって立派な夏の楽園。“最高の夏”は、案外近くにあるもんなんだよ。
小袋、スルメ天、串揚げ……赤星が進む“酒場オールスター”
こぶくろ刺し600円
料理が増えるたび、空になっていく赤星のグラス。玉袋さんが普段から足を運ぶ居酒屋『とらばこ』だけあって、ここでは「これ食べたことない」という聖秋流さんに、酒場の先輩からおすすめが次々と飛んでくる。
続いて登場したのは、小袋刺し。コリコリとした独特の食感に、ねぎの爽やかな香りがよく合う。暑い日に嬉しいさっぱりとした一皿だ。
聖秋流 私、小袋って初めて食べます。
玉袋 小袋っていうのはな、豚の子宮なんだよ。
聖秋流 へえ!? そうなんですね。それも初めて知りました。詳しいですね。
玉袋 俺は、袋業界が長いからな。
聖秋流 袋業界って(笑)。
スルメの天麩羅500円
さらに、スルメの天麩羅、セセリの炭焼き、青唐辛子の串揚げなど、『とらばこ』らしい気取らない酒場料理が次々とテーブルを埋めていく。
聖秋流 スルメの天麩羅、大好き!
玉袋 いいよなあ。こういうのがビールに合うんだよ。冬だったら焼酎のお湯割りに、柚子胡椒入れても美味いんだよ。
聖秋流 私、まだお湯割りまで開拓できてないです。柚子胡椒割り、この冬やってみようかな。薬味は大好きです! ねぎとかミョウガとか。
玉袋 夏のミョウガなんてたまらないな。薬味があればいくらでも飲めちゃうよ。
お金は、“我慢しないため”に稼ぎたい
セセリの炭焼き700円
話題は、お金の使い方へ。欲しいものも、楽しいことも、好きなお酒も我慢せず楽しむために働くのが2人の共通点。
玉袋 俺が一番、お金使ってるのは酒だろうなあ。あとは通販番組見てると、つい買っちゃうんだよ。
聖秋流 通販番組を見て買うんですか?
玉袋 例えば、懐メロCD5枚組とかさ。酔っ払って見て、「これいいな!」って買うじゃん。それで1週間くらいしたら、また同じ通販見て、同じもの買っちゃうの(笑)。Amazonからも、ほぼ毎日のように何かが届いてるし。
聖秋流 私も今日、家に3つ届いてたんですけど、開けずに出てきました。私、お金が欲しい理由ってそこなんです。生きていて、「これ欲しいけど、お金ないから我慢しよう」ってなりたくないから、そのために働きたい。好きなものを我慢しなくてもいいくらいは稼ぎたいんです。
玉袋 俺もそれしかないかもしれないな。好きなものに使いたいから仕事する。金は使ってなんぼ!
割り勘より「今日は俺」が気持ちいい
巾着納豆の串揚げ200円
お金の話は、そのまま、奢る・奢られる議論に。
玉袋 俺、人に奢られるのがあんまり好きじゃないんだよ。
聖秋流 なんでですか?
玉袋 払ってもらったら、なんとなく相手が上になる感じがしちゃって。でも俺が払えば相手にはフラットでいてもらっていいから、その方が楽だなって。
聖秋流 私も割り勘、あんまり好きじゃないんです。
玉袋 お、そうなの?
聖秋流 きっちり半分じゃなくて、「ここは私。次はお願い」の方が好きです。たとえ2軒目の金額が安くてもいいんです。
玉袋 「今日は俺、次はそっち」みたいな方が気持ちいいもんな。芸人の世界では、後輩と飲みに行ったら先輩が払うっていうのが染みついてるから、後輩と飲む時は払うことが基本。若手時代、月の給料がわずかだった頃に生活できたのは、先輩たちが食事へ連れて行ってくれたから。昔、先輩にしてもらったから、今度は自分が後輩に返すって感じだな。
聖秋流 素敵ですね。次に循環するっていうの。私たちって酒場のお会計マナー合いますね(笑)。
キャッシュレス時代に消えつつある、お駄賃文化
玉袋 お会計で思い出したけど、昔は親父に「これ買ってきて」って千円渡されて、800円だったら、残り200円をお駄賃でもらえたことってあるじゃん?
聖秋流 はいはい。ありましたね。
玉袋 今はキャッシュレスでピッて終わっちゃうだろ。あのちょっとしたお駄賃文化がなくなってるのが、ちょっと寂しいんだよ。例えば、タクシーで「お釣りはいいよ」とか、旅館で荷物を運んでもらった時に心づけを渡したり、現金を持つことが減るとそういうのが気軽にできなくなっちゃうよな。
聖秋流 私も昔、居酒屋でバイトしてた時、「お釣りはいいよ、あげるよ」って言ってくださるお客さん、いました。
玉袋 嬉しかっただろ?
聖秋流 めっちゃ嬉しかったです。
玉袋 それなんだよ。決して大きな額ではないけど「ありがとう」を少しだけ目に見える形にするのが良かったのに。便利になった分、失われていくものもあるんだなって最近思う。
昭和と令和。どちらが正しいという話ではなく、昔あったちょっとした粋な話を知るのも、世代を越えて酒を飲む面白さだ。
赤字でもいい!? 酒場に払うのは、楽しい時間代
聖秋流 私もお酒代は結構使ってると思います。みんなで飲んで、私が最後まで残ってる時、後からみんなに連絡してその日の飲み代を徴収するのが苦手で。結局そのまま自分が払っちゃうことが多いんです。
玉袋 そりゃあ、結構大変な額になるな。
聖秋流 はい。飲み代だけでかなりいっちゃう月もあります。悔しい(笑)。
玉袋 バランスシートで考えたらマイナスだ。
聖秋流 赤字ですよ〜(笑)。
玉袋 仲間と飲んで、これこそ最高の時間だなって時は、会計もゲームみたいになるんだよ。誰が先にパッと払うか。トイレ行くふりして払うのはよく使う手。たまに俺より早く払う奴がいて、「やられた!」ってなる。それもエンタメなんだよ。
聖秋流 その戦い……お財布的には勝つのがいいのか負けるのがいいのか(笑)
玉袋 楽しい夜だったら、細かいことは言いたくない。誰かと楽しく飲む時間まで、損得勘定だけで割り切りたくないんだよ。
聖秋流 それは本当にそうですね。大賛成!
お金を使っているのは、お酒そのものだけじゃないと語る2人。笑った時間やまた会いたいと思える関係への感謝も含めての金額。そう考えれば、酒場で使ったお金は、案外“浪費”ではないのかもしれない。
玉袋さんチョイスの串揚げ。奥から、青唐辛子200円、赤海老350円、うずらの卵150円
終盤に登場したのは、玉袋さんおすすめの串揚げ。なかでも青唐辛子は、クーラーの効いた室内でも汗だくになる辛さに2人で大笑い。
聖秋流 私、メニュー見た時からこれが一番気になってました。
玉袋 青唐辛子は当たり外れあるぞ。辛いやつは本当に辛いから。
聖秋流 辛いの全然いけます!
そう言って勢いよくひと口。モグモグと噛んで……数秒後。
聖秋流 待って。想像以上に辛いです!!!
玉袋 これは来るな(笑)
聖秋流 毛穴が開いてる! 涙出てくる! 汗吹き出す! クーラーガンガンなのにめっちゃ汗だく(笑)。
痺れるような辛さのあとには、もちろん冷えた赤星。グラスを合わせれば、体にこもった熱まで気持ちよくほどけていく。
特別な場所に行かなくても、豪華な料理を食べなくてもいい。
茹でたての枝豆に、コリコリの小袋。ちょっと辛い青唐辛子に、キンキンに冷えた赤星。
そして、隣に一緒に笑える人がいる。
夏の思い出は、きっとそんな何気ない夜からできていく。
Hair&make-up:HIYORI
Styling:Rinka Shoji
Interview&text:Yumiko Ito
Tシャツ¥8250、パンツ¥19800/MARDIMERCREDI JAPAN(Mardi Mercredi) ネックレス¥2750/GOLDY ブレスレット¥38500/サンポークリエイト(ミミサンジュウサン) ミュール¥7700/アンティローザ(DTYYPE)



と赤星
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