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団長が行く

団長が行く File No.85

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

「めくる莊」

公開日:

今回取材に訪れたお店

めくる莊

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あのお店はなぜ時代を超えて愛されるの? お客さんがみんな笑顔で出てくるのはどうして? 赤星探偵団の6代目団長・赤江珠緒さんが、名店の暖簾をくぐり、左党たちを惹きつけてやまない「秘密」を探ります――。

美食の街、神楽坂にて

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

神楽坂ーーそれは、大人の街
神楽坂ーーそれは、おしゃれな街
神楽坂ーーそれは、美食の街
そして、選ばれし者の街

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

当「団長が行く」企画が始まって以来、85回目にして初めての神楽坂。
ついに、選ばれし、おしゃれな大人の仲間入りだ。さあ、美食三昧と行こうじゃないか。

今回もいい取材になりますようにと、赤城神社にご挨拶いたしまして、目指すのは東京メトロ東西線・神楽坂駅の赤城神社とは反対側の出口から徒歩15秒ほどのお店だ。

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

早稲田通りに面し、すでに廃業した帽子店の看板が掲げられたままの年季の入った建物。その2階に上がる。目に飛び込んできたのは、外観からは予想できない、東南アジアのとあるストリートの屋台、はたまたビーチサイドのバーを彷彿させる、なんともおしゃれな空間だ。ベトナム屋台料理を立ち飲みで楽しめる「めくる莊」だ。

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

赤江: そうきましたか! こりゃ、やられましたな。
駅近も駅近。知らなかったら通り過ぎることこの上なしな建物の中に、こんな穴場的なところがあるなんて。「神楽坂、あ、いい店知っているよ」てな具合に友達を連れてきたら、ちょっと鼻が高いお店ですよ。

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

迎えてくれたのは、秋山友樹さんだ。モジャモジャのひげが、顎先の一点から三つ編みで20cmほど伸びている。二度見必至、一度見たらもう忘れない風貌の料理長兼店主である。

赤江: おひげ、引っ張られたことありませんか?

「初対面の人にですか? ありますね」

赤江: ははははは! 引っ張られたら「クラッカー!!」って、おどけるのはどうですか? うちの娘の一髪ギャグで、顎の下を引っ張るフリをして変顔する持ちネタがあるんですよ。

「くす玉とか。今度やってみます」と秋山さんは冷静だ。
初対面の会話とは思えない内容も、ひげがなせる技である。

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

さて、ビールだ。フロア中央の島のようなテーブルに陣取り、グラスに注ぐのはもちろん“赤星”、サッポロラガービールである。

ーーいただきます!

赤江: ぷふぁあーー。本日も美味しいですなあ。こうして立っていただきますと、赤星がつま先まで沁み渡っていくような特別な美味しさがあります。ワタクシ、当企画で立ち飲みさせていただくのは、記念すべき第1回目の吉祥寺「いせや」さん、そして、わがふるさと明石の「立吞み田中」さん、そしてこちらの「めくる荘」さんと、3回目でございます。

 

ベトナム料理にアレンジ光る

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

当店は、ベトナム屋台料理をベースにした秋山さんの創作料理の店だ。赤江団長はお隣のタイには行ったことがあるが、ベトナムは未訪だ。魅惑的な料理名が並ぶメニューを見て、好奇心のおもむくまま、食欲がくすぐられるままに注文する。

手始めは、ベトナム料理の定番、生春巻き。しかしココがオリジナルなポイント。甘酢とリンゴ果汁で漬けたなますとたたきマグロをたっぷりの野菜と一緒に巻いた「本マグロの生春巻き」なのである。

赤江: コレ、好きだなあ〜。マグロとなますが出会ったかーー。マグロの旨みとなますの爽やかさが一体となって、お野菜のシャキシャキとした食感も楽しくて。
ソースがよくあるピリ辛で甘いソースじゃなくて、ゴマだれってところもいい。マグロの持ち味を生かしながら、ちゃんとエスニック。

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「味がまったく想像できない」と楽しみにしていたのが、人気メニュー「ナスのニラミント浸し」だ。
一口ほおばった団長は、その新しい美味しさに目を丸くさせている。

赤江: あんたは飲み物ですかいってくらいに、ナスがみずみずしい仕上がり。熱々の油をジュッとかけて仕上げているとな。ニラとミントの香りがナスの甘さを引き立てていて、たまりませんよ。そして、赤星にバッチリ合いますよ。

それにしても、ナスとミントがこんなに相性がいいとは。いい出会いをしたものよのう、こちらさんも。

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嬉々とする団長の姿に、秋山さんも笑顔をほころばせる。

秋山さんの経歴は一風変わっている。東京都江東区出身の秋山さんは、大学卒業後、吉本興業のお笑い芸人養成所、NSCに入った。
「就職活動をまったくしていなくて、どうしたものかと思っていた時に友人に誘われて。おもしろそうだとお笑いの世界に飛び込んでみました」と秋山さんは話す。同期にはロングコートダディやちょんまげラーメン(当時はインディアンス)らがいたという。ちなみに秋山さんはツッコミ担当だった。

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「久慈タコとオレンジのカルパッチョ」と「ワインミー」がやってきて、テーブルは途端に華やかになった。

「久慈タコとオレンジのカルパッチョ」は、その名の通り、岩手県久慈市名産の茹でた水タコを柑橘と合わせた一品。この日は旬の八朔を使っている。

赤江: これまたセンス〜。お初に味わう美味しさですよ。タコと柑橘が一緒になると、こんなに互いを高め合うとはね〜。

「ワインミー」は、ベトナム定番のサンドイッチ、バインミーをおつまみ寄りにアレンジした、これまた評判の品だ。自家製のレバーパテ、曳舟のハム工房「Otis Ham & Salami」の生ハム、そして自家製なますを、瑞江の人気ベーカリー「コーデュロイ」に特注したパンで挟んだ、特製のバインミーなのだ。

赤江: どれどれ(思い切りガブリとやって)ホレフゴイ〈これすごい〉! 旨みが口の中で踊り狂っておりますぞ。確かにワインが飲みたくなるやも。待って、(赤星をゴクリとやって)合う! 赤星との相性も抜群! 赤星ンミーに改名してはどうですか(笑)

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秋山さんは関西でNSCに通いながら、生計を立てるために焼き鳥屋でアルバイトを続けた。そして次第に料理の世界への興味が広がっていった。20代半ばを過ぎた秋山さんは、「何かスキルを持っていないと、今後就職しようとなった時にヤバい」と、英語を修得するために海外に渡った。オーストラリアやアメリカなどで数年間、飲食店を渡り歩き、さまざまなジャンルの料理の腕を磨いた。

 

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赤江: 行動が大胆(笑)! その海外修業で、料理の道を本格的に目指すようになった?

「はい。オーストラリアのゴールドコーストの日本食レストランでの経験が大きいですね。腕のある料理人に感化されましたし、オーストラリアでは普通になっている心身を大切にしたライフスタイルを実践するようなお店を日本で開きたいと思うようになったんです」

帰国した秋山さんは、蔵前の人気立ち飲み店「イエロ」で料理長としてさらに腕を磨いたあと、亀戸にナチュラルワインのバーを独立開業させた。さらに、こちらの築推定60年の物件を紹介され、おもしろい店にできそうだと業態を変えて神楽坂にシフトした。

 

ほぼ独学のベトナム料理

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

実は、秋山さんはベトナム料理店での経験はなかった。当地で飲食店をやるならどんな業態がより安定した集客を得られそうかを戦略的に練った結果、選んだのがベトナム料理、しかも立ち飲みだった。

「ベトナムは旧宗主国のフランスと縁の深い国。料理にもフランスの影響を受けています。神楽坂はリトル・パリと呼ばれるほどフランス人が多く、フレンチやワインの店も多い。そもそも美食の街で多種多様な美味しいお店があるにも関わらず、ベトナム料理はなぜか極端に少なかったんです」

ベトナム料理はほぼ独学だ。
「開業にあたってベトナムに行ったことない……ではカッコがつかないので、行ったことありますよという事実を作るために2泊4日でベトナム弾丸ツアーに行ってきました。とにかく屋台料理を食べまくるという。その時の経験が、すごく生きていますね」

赤江: もう立派に行ったことある人です(笑)! 事実、現地の空気を体感したことがあるかないかでは大違いですよね。

 

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

赤江: 焼き鳥や和食、ワインバーでの料理の経験と、ベトナム現地でのリサーチをミックスして生まれたのがこちらのお店なんですね。ナチュールワインが揃っているのも魅力です。

それに、立ち飲みと言いつつ、プラス料金で座れる個室も利用できるじゃないですか。お部屋の雰囲気もすごくよくて。早くも、次回は友達連れて個室で飲もうかと思ってます。

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

鼻腔をくすぐる香ばしさは、炭火で串を焼く煙だ。串焼きは焼き鳥の経験豊富な秋山さん真骨頂だ。ベトナムでも焼き鳥はメジャーな食べ物とのこと。

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

ベトナム屋台風の焼き鳥とは、一体どんな仕立てなのか?
料理を次々と平らげた団長は、赤星で喉を潤し、焼き上がりを今か今かと待っている。

串を焼く秋山さんに素朴な疑問を投げてみた。「どうして赤星を置いているんですか?」

「一番の理由は僕が好きだからですね。一周回って好きって感じです。オースストラリアはクラフトビール大国で、美味しい個性的なビールが無数にあります。いろいろ味わっているうちに、待てよ、結局日本のビールはかなり美味いぞと気づいたんです。中でも赤星は、バランスがよくて飲み飽きしない美味しさという点で突出しています。前のお店では、日本の各社のビールを用意していたんですが、なぜかほとんど赤星しか出ませんでした」

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

満を持してお出ましだ。団長チョイスは、ねぎまと砂肝。ねぎまはパクチー、砂肝はミントの葉をちょこんとのせている。

赤江: これは美味しいですなあ。焼き鳥さん、そもそもとっても美味しい焼き鳥なんですが、見事にベトナム色に染まっております。甘辛のタレの爽やかな風味は……レモングラスですか!
砂肝の方の薬味はピクルスですね。こちらも、なんともクセになりそうなお味。現地の味付けにアレンジを加えているとな。ほほう、やりましたなあ、2泊4日で! ……というのは冗談でして(笑)、秋山さんのセンスに感服するばかりでございますよ。

 

個性的な“出会い系”料理

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

「これまた出会っちゃっているなあーー」と団長が味わっているのは、「コーンとアミエビのヌクマムバター炒め」だ。ヌクマムとは、ベトナムの魚醤のこと。コーンをヌクマムで料理するのは、ベトナムでは珍しくないが、そこに旨みたっぷりのアミエビを合わせ、バターで香り付けしている。

赤江: コーンがアミエビに出会うことはなかなかないですよ。同じ小粒集合体であるコーンとアミエビを一皿で合わせるなんて、彼らにとっては街コンですよ。

秋山さんのお料理は、出会い系ですね。食材と食材の思わぬ出会いが、未知を美味しさを実現していると赤江は高らかに宣言します。

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

「出会い系ですか、ありがとうございます(笑)。僕のベトナム料理はベトナム創作料理です。僕がいくらベトナム人を真似して頑張っても、現地の方が作るような素朴な美味しさは醸し出せません。僕が日本でベトナム料理をやるなら、日本人らしい丁寧さや細かなアイデアを盛り込んだ方が、ベトナム料理としてのポテンシャルがより生きると思っています。だから、斬新な美味しさだと楽しんでもらえるのは、すごくうれしいですね」

団長は秋山さんの話に深く頷きつつ、「さつまいもフライ」が止まらなくなっている。

赤江: さつまいもフライ、おつまみにもいいし、デザート感覚でもいける! そして、この付け合わせの自家製マルカルポーネをちょいと付けると、一気に味変! めっちゃ合う!!

 

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

ベトナム料理の〆と言えば、これは避けては通れまい。迷わずフォーを注文する。
やってきたのは「フォーガー」。米粉の麺を使った定番の鶏肉の汁麺だ。

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

赤江: は〜〜、いいお出汁だなあ。なんともやさしいお味。鶏ハムもしっとりと柔らかくて最高です。お近くのタイ料理やマレーシア料理ともまた違った穏やかな味わいが、ベトナム料理ならではの魅力ですね。

フォーを食べ終えた団長は、ひとごこちついたと思いきや、デザートを追加注文。さすがプリン好きの団長。メニューの最後にあった「ベトナムプリン」を見逃さなかった。

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

赤江: えぇ〜〜!? 黒っ!
もはやプリンに見えません。

ベトナムで食べられている製法にならい、生地に練乳を使って固めに焼き上げたプリンだ。カラメルは苦味を際立たせるのがめくる莊流。本日のカラメルはいつにも増して苦めに仕上がっているという。

赤江: うまっ! これ、私がサイッコーに好きな硬さ、卵感のプリンです。私史上最強に苦いカラメルも全体をまとめていて、絶品ですよ!

いやぁ、めくる莊、恐るべし。まだまだいただいてみたいお料理がたくさんありますので、また必ずおじゃまさせてもらいます。

神楽坂「めくる莊」穴場的! 立ち呑みベトナム屋台料理が好きすぎる件

ーーごちそうさまでした!

(2026年1月27日取材)

撮影:峯 竜也
構成:渡辺 高
ヘア&メイク:上田友子
スタイリング:入江未悠

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