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団長が行く File No.30

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

「千登利」

公開日:

あのお店はなぜ時代を超えて愛されるの? お客さんがみんな笑顔で出てくるのはどうして? 赤星探偵団の4代目団長・市川紗椰が、名店の暖簾をくぐり、左党たちを惹きつけてやまない「秘密」を探ります――。

■名物・牛肉豆腐に悶絶

池袋西口、ロマンス通り。駅前から映画館やボーリング場が入るロサ会館へと続くこの通りは、居酒屋やカラオケ店などがひしめく賑やかな歓楽街だ。近年は大資本の出店と撤退がハイペースで行われており、店の移り変わりが激しくなっている。

そんな中で、常に変わらぬ佇まいを見せているのが、創業昭和24年のやきとんの名店「千登利」だ。

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

今日は焼きとんを存分に喰らおうという市川団長。16時半の開店と同時に入店し、首尾よくグツグツと湯気を立てる大鍋の前の席に着いた。

市川: おぉー、これが名物の牛肉豆腐ですね。何なんでしょうか、この大鍋の吸引力は。はやる心を落ち着かせるために、まずは赤星をお願いします!

昔ながらの水冷式冷蔵庫で、いわゆる“どぶ浸け”でキンキンに冷やされたサッポロラガービールのお出ましだ。

――いただきます!

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

市川: ふー、おいしい。赤星って、炭酸の具合がほどよくってスッと飲めるんだよなあ。よし、食べるぞ!

なにはともあれ牛肉豆腐をください! このグツグツアピールに抗える人はいないでしょう。

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

牛肉豆腐の一人前は肉がたっぷり、豆腐はほぼ一丁、粗い輪切りのネギがどっさりのった必食の品。焼きとんの焼き上がりまで、熱々をハフハフ、冷たいビールをゴキュッとやりながら楽しめる。

「うちの煮込みは昔からずっと牛のカシラ肉を使っているの。創業は昭和24年なんですが、38年に建て替えましてね。この肉豆腐は建て替え後からと聞いていますから、もう50年以上になりますね。すき焼きをイメージして考案されたそうですよ」

そう話すのは、カウンター隅の定位置で采配を振る女将、西形元美さん。黒のヘアバンドが今日もキマっている。

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

市川: 牛肉豆腐、見た目だけで心をわしづかみにされてしまいます(笑)。どれどれ……。

うん、完璧。味が濃そうに見えたけど、まろやかないいお出汁ですね。お肉がホロホロになるまで煮込まれていて、たまりません。お豆腐にもしっかり味がしみていて……ああ、幸せ。

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

おっといけない、思わずうっとりしちゃった。やきとんも注文しましょう。

さてと、全串いきたいところだけど、まずはカシラ、ナンコツ、シロ。塩かタレか? うーん、お任せします! それから、鳥皮からし和えもお願いします。

■かぶをチェイサーに焼きとん三昧

鳥皮からし和えは、ボイルしてからし和えにした鳥皮に刻みネギがどっさりのっている。

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

市川: ワタシ、鳥皮には目がないの。これは、本当に鳥皮がたっぷり。どれどれ……ふふふ、おいしい。プリプリの鳥皮にシャキシャキのネギがいいアクセントになっていて、からしも辛すぎずいい塩梅です。最高のおつまみかも。

「千登利」を開いたのは、今は亡き、女将さんのご主人のお父さん。昭和24年当時、界隈には何もない状態で、「千登利」からは池袋駅の駅舎が見えるだけだったそうだ。女将さんにとって義理のお父さんであるその先代は、ロマンス通りの名付け親でもある。

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

女将さんが嫁いだのは昭和42年。

「池袋西口はまさに“雑多な街”という印象でしたね。歓楽街として知られているかもしれませんが、戦前は芸術家が集まっていた池袋モンパルナス、それから少し先の椎名町駅にあったマンガ家たちのトキワ荘に代表されるように、意外と文化・芸術の香りが漂う街なんです。

今も学生さんが多くて活気があるし、日本人は入りづらいようなアジア各国の本格的な料理店もどんどん増えています。いろんなモノが雑多に詰まっているところが池袋、特にこのあたりの魅力だと思います」(女将さん)

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

そんな話を聴いているところへ、焼き物第1弾オーダー、カシラ・ナンコツ・シロのトリオがやってきた。

豚の頭や顔の肉であるカシラというと赤身部分が一般的だが、こちらのカシラは脂身部分を主体としたいかにも“コラーゲンの塊”といった出で立ち。そして、首軟骨を大胆にぶつ切りにしたナンコツ。焼きとんの王道とも言うべき大腸のシロ。プリプリ・コリコリ・クニクニ、揃い踏みだ。

やきとんを噛み締め、赤星をゴクリとやっては眉間にしわを寄せて目をつむって唸る団長。串→グラス→串→グラスのループが止まらない。もう、内に秘めたオッサン心がダダ漏れ状態だ。

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

市川: 1本が大ぶりで、ガツンと食べたっていう満足感がある。焼き加減もいいんだよなあ。しっかりこんがり焼かれているのに、とってもジューシー。この脂身タイプのカシラもクセになる味。まだまだいけそう……。

すみません、ぎんなんとうずら玉子焼き、それから、かぶ味噌をお願いします。

「かぶです」と、かぶ味噌がすぐさま登場。どど~んと四つに割られた立派なかぶに、団長も思わず目を丸くする。

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

市川 :これはまさにかぶそのもの。ただ切っただけなのに、みずみずしくて驚異的なおいしさです。添えられた甘味噌もいい感じ。

このかぶ、焼きとんのチェイサーにピッタリかも。パリッとした歯触りも小気味いいし、水分補給にもちょうどいい。串揚げにはキャベツ、焼きとんにはかぶ、ですね。

■やきとんとオタク話は極上の肴

ぎんなん、うずら玉子焼きが焼き上がった。

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

市川: あ、おいしい。やきとん屋さんでもやきとり屋さんでも、やっぱりたのんじゃうだよなあ、この2つ。この丸っこいシルエットには、お肉の茶色の魔力とは別の吸引力があって、目の前にこれがあるとなんか安心するんです(笑)。

「ちょっといいですか?」と話しかけてきたのは女将さんと一緒に店を切り盛りする息子さんの西形公一さん。

「市川さんは相当なアニメ好きとお聞きしていますが、中でも『銀河鉄道999』はお気に入りの作品とのこと。実は、ナレーションを担当した高木均は大叔父なんです。他にトトロやムーミンパパの声などもやっていました。なんだか妙なご縁を感じまして……」

市川: えっ、そうなんですか! わかります、あの終わりのナレーションですよね。ムーミンパパは古い方の、やさしくて味のある声ですよね。

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

「市川さんは相当な“鉄”とお聞きしています。実は私もかなり好きな方でして。特に好きなのは海外の鉄道。まとめて休みを取れる時には海外の鉄道旅行に出かけます。思い出深いところですか? そうですね、インドなんかは座席が8種類くらいの等級に分かれていましてね、いろんな等級を乗ってみたんですけど、あれはとても強烈でした……(以下省略)」

市川: へえー、すごい! 私はアメリカ育ちですし、海外の鉄道も大好きなんですけど、なぜでしょうね、日本では“海外鉄”ってちょっと軽く見られているような雰囲気がありませんか? ですよね、やっぱりそう思います?

アニメと鉄、二大オタク話は、尽きることがない。

■塩か、タレか、それが問題だ

塩かタレかはお任せで注文していたタンハツとレバーがやってきた。タンとハツが交互に串に刺されたタンハツは塩、レバーはタレでの登場。

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

市川: タンとハツを一緒にしているのを初めて見ました。同時に焼いているのにどちらも最高の焼き加減。レバーもプリプリで、おいしい、ホントに。

ところで、塩とタレ、団長はなぜお任せにしているのだろうか?

市川: 塩かタレか、これは飲食店における大問題ですよね。いつの頃からか、人は塩を選ぶ方が味をわかっているんじゃないかと考え、また、すかさず「塩で」と言わなければいけない圧力を感じるようになりました。

天ぷらはもちろん、とんかつさえも塩で食べると素材の味がわかっておいしい、みたいな風潮が蔓延していますよね。でも本当にそれでいいのでしょうか?

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

私は熟慮を重ねた結果、「塩で」と言いがちになりました(笑)。

見えない圧力に屈しているのでしょうか、それとも実際に塩で食べたいと思っているのでしょうか、まだ自分の本心と向き合えていません。答えが出ていない。それが私の塩タレ問題の現状です。

というわけで、最近は「お任せで」とお願いすることが多くなっています。

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

やきとん屋での長っ尻は野暮、ということで、一人焼きとんフェスもそろそろおひらき。うずらの玉子焼きのおかわりしてシメることに。

市川: このうずらの玉子、最っ高です。固茹での黄身が弾けんばかりで。玉子って何かとウケやすい半熟方向に逃げがちだけど、この固茹でには強い信念を感じます。

時代に流されず、いつまでもこの心地よい酒場の空気を守り続けてほしいです。

――ごちそうさまでした!

池袋「千登利」一人やきとんフェスに酔いしれて

撮影:峯 竜也
構成:渡辺 高
ヘア&メイク:井上祥平(ヌーデ)
スタイリング:西野メンコ
衣装協力/ブランドニュース(03-3797-3673)
フレーク(03-5833-0013)
SUSU PRESS(03-6821-7739)

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